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【答え】 いぼ痔 -切除による根治手術を-

三木達医院 三木 達(徳島市庄町5丁目)

 肛門の病気を痔(じ)といいます。肛門とはお尻の穴のことです。肛門は、4本の筋肉で締め付けられた5センチのパイプです。外からは見えない、触れない所です。皆さんが手で触れる所は、肛門の出口です。肛門の上半分は直腸の粘膜で、下半分は皮膚でできています。

 肛門の内側には、クッションという血管を含んだスポンジ状の厚さ5ミリほどの壁があります。この壁が便秘で壊れて、出血して腫れ上がったり垂れ下がったりしたものが、いぼ痔です。焼き過ぎて膨れ上がったもちのようなものと思ってください。

 相談者の病気として最も考えられるのが、このいぼ痔です。便秘をすることで、いぼ痔は毎日大きくなります。

 肛門から脱出すると、脱肛といいます。いぼ痔が大きくなり過ぎたのです。つまり、末期のいぼ痔ということです。放っておくとますます大きくなって、破れて出血が始まります。最近は、かなり大きないぼ痔でも3日間の入院で注射で治せますが、相談者の場合は完全に治すには従来の切除による根治手術が必要と思われます。

 痛みと腫れを取り除くだけであれば、薬でできます。痛いときは安静にし、入浴すると楽になります。便秘にならないように注意してください。痛みが取れたら、どんどん散歩をしてください。痔の軟こうを肛門の中に注入すると早く楽になるでしょう。

 ほかに、肛門ポリープという病気の可能性も考えられます。

 ポリープは「肉茸(にくだけ)」といって、肉と繊維の塊です。10年以上たたなければこれほどまで大きくなることはありません。まれに見る巨大ポリープです。

 ポリープ自体に痛みはないのですが、大きくなって肛門から出入りしている間に根部に傷が付いたものと思われます。ポリープは大きくても、外来で切除することができます。薬はありません。

 これら2つの病気は、ゆっくりと何年もかけて慢性にできるものです。

 もし急性に、1~3日間でできたいぼであれば、それは血栓性外痔核です。肛門の血管が破れて突然出血し、肛門の出口に血のこぶができたものです。

 肛門の下半分の壁は皮膚組織でできているので、神経がたくさんあって痛むのです。痛みと腫れがいつまでも続くようなら、外来で切除できます。手術は10分ほどで終わるので、すぐに帰宅できます。そうでなければ、自然に消えるのを待ちます。たまに、自然に破裂して急に楽になることもあります。

 いずれにしても良性の病気ですが、ご質問の症状からするとかなり進行していて、痔としては末期的なものと思われます。自家治療は難しいかもしれません。一度、専門医を受診して相談されてはいかがでしょう。肛門の病気は、まず肛門科を受診されるのが適当かと思います。

徳島新聞2006年12月17日号より転載

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