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【質問】傷跡残さず治療したい

20代の女性です。2カ月前、熱湯を太ももにこぼし、やけどをしてしまいました。皮膚がむけるほどで痛みがひどく、すぐに病院で診てもらった結果、両太ももとも2度の熱傷でした。当初は軟こうを塗ってガーゼを当て、包帯で巻いていました。その後はガーゼを貼って様子を見ていたら、茶色の皮膚ができてきました。傷跡を残さずに治療できるのでしょうか。



【答え】放置すれば かゆみや痛みも

徳島県立中央病院皮膚科 野田利紀

 文面からは経過の詳細が分かりにくいところがあるので、<1>できた皮膚に日焼けあとのような色素沈着が起こっている<2>まだ皮膚ができていない傷にガーゼだけを当てていたところ、表面が茶色く乾燥してきた-と2通りの可能性を考えました。

 熱傷は傷の深さによって▽1度(赤く腫れるだけ)▽2度(水ぶくれや皮むけが起こる)▽3度(皮膚の全層が死んでしまい、固くなる)-に分けられ、度数の大きなものほど治りにくく、あざなどの傷跡が残りやすくなります。

 また1度、2度熱傷では痛みを感じますが、3度熱傷を起こしたところでは神経も死んでしまうため、痛みを感じなくなります。深い熱傷では受傷カ所や大きさ、環境などによって植皮手術を行う場合があります。

 一方、傷を早く、痛みを少なく、傷跡を残しにくく治すためには<1>傷んで死んだ組織や異物(転んでできた傷ならば泥や砂利など)を傷から取り除く<2>傷をきれいに洗い流す<3>傷を潤った状態に保つ-ことが大事です。

 今回のご相談は熱湯をこぼした2度熱傷ですので<1>では、破れてふやけた水ぶくれの皮などを取り除く。<2>では、ぬるめのシャワーなどで傷口を軽く洗い流すのが良いと思います。かつては傷の治療によく消毒薬を使っていましたが、消毒で傷をずっと無菌状態にできるわけではありません。逆に傷を傷(いた)めたり、かぶれさせたりする原因にもなるため、最近では水道水などを使ってしっかり洗うことが勧められています。

 <3>について、以前は「傷は乾かした方が治りやすい」と言われていましたが、実は間違いです。傷口は潤った状態にした方が、傷の修復に必要な細胞が増えてスムーズに移動できるため、傷の治りが早くなります。「うるおい治療」などと呼ばれています。

 反対に傷を乾かすと、傷の表面にある細胞はカラカラになって死んでしまいます。また、傷口がかさぶた(傷口から出る液が固まったもの)に覆われることで傷口の細胞が増えにくくなり、傷が治りにくく、傷跡が残りやすくなります。

 受診された病院では、傷が乾燥しないように軟こうとガーゼでの治療が指示されていましたが、最近は、傷に引っ付かず、傷口の潤いを保てる創傷被覆材がガーゼの代わりに使われたり、さらに食品用のラップを用いた「ラップ療法」が行われたりする機会が増えてきました。

 中でもラップ療法は、身の回りにあるもので手軽にうるおい治療ができるので一般にも知られてきています。一方で、傷の周りが蒸れやすくなってあせもやかぶれを起こしたり、深くまで傷(いた)んだ傷で行うと化膿(かのう)しやすく、腫れたり傷が拡大したりする危険性があります。特に小さく、きれいな傷以外で行う場合は、うるおい治療に慣れた医師の診察、指導の下で行うようにしましょう。

 最後にご質問の答えです。もし今既に皮膚ができており、表面的に乾燥や色素沈着が残っている状態であれば、第一に患部に日光が当たらないようにして保湿などのスキンケアを行い、必要に応じて炎症止めの塗り薬や、あざ予防の飲み薬を使うことで傷跡を残しにくくできるかと思います。

 しかし一方で、ご質問の文面からは傷口にまだ皮膚ができておらず、表面が乾燥しているだけか、かさぶたに覆われているだけの可能性も考えられます。これを放置しておくと傷跡が残りやすく、場合によっては盛り上がってかゆみや痛みなどを起こすこともあります。

 いずれにしましても、まずは皮膚科を再診し、今の状態を診断してもらうことが大事です。その上で、今後の治療についてもご相談していただけると思います。

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