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【質問】踵の骨に痛み

40代後半の男性です。4月のとくしまマラソンに挑戦しようと、3カ月前からトレーニングを始めています。練習は週3回で1日5キロほどが中心でしたが、次第に10キロ以上走ることも多くなりました。ところが最近、朝起きて歩き始めたときに踵(かかと)の骨に痛みを感じ、整形外科で受診したら「足底筋膜炎」と診断されました。走るのをやめて湿布で痛みを和らげていますが、大会に間に合うかどうか心配です。練習再開までどの程度待てばいいのでしょうか。



【答え】ストレッチをしっかりく

新野医院 新野浩史

 質問の内容は、走る量が増えたことにより、歩き始める際に踵の部分に痛みを感じたということだと思います。成人の踵部痛の原因には、足底線維腫症(良性の腫瘍(しゅよう))、踵部脂肪じょく炎(脂肪体の委縮)、外側足底神経障害、踵骨疲労骨折などがあります。その中で、質問にある症状から最も考えられるのは足底筋膜炎(足底腱膜炎)だと思われます。

 足底筋膜は、足底腱膜と内外側の薄い膜からなります。足底腱膜は踵骨隆起内側突起から起こり、第1~5趾(し)の基節骨基部に付きます。その足背側には、短趾屈筋や母趾外転筋の足趾を動かす筋、足の縦アーチを支えている足底方形筋があります。その役割は▽足底からの衝撃を吸収する▽足底の筋肉、腱、神経、動静脈を保護する▽足の縦アーチの保持の一部を担っている-などです。

 診断は、立ち上がって歩き始める際の足底部の疼痛(とうつう)などの症状と、足底筋膜踵骨起始部や遠位に圧痛があることにより容易にできます。

 しかし、念のために最初に述べた疾患を除外するため、画像検査が必要になってきます。レントゲン検査では踵に骨棘(こっきょく)を認めることがありますが、症状(疼痛)との関係はありません。腫瘍などを除外するためにMRI検査を行いますが、足底筋膜炎の場合、筋膜の肥厚や筋膜内に高信号域などが存在することがあります。

 また、病変部の組織を調べてみると、コラーゲン繊維の変性と、修復や血管新生などの慢性炎症を思わせる所見を認めています。そのことから慢性的な過剰負荷が原因と考えられています。

 治療は、保存療法が主となります。まず、靴の適合性をチェックして、靴底が片べりしているものは新しいものに取り換えます。また、先ほど慢性的な過剰負荷が原因と述べましたが、それを避ける意味でも、仕事など日常における歩行距離や立ち時間を減らす工夫が必要になります。ランニングをしている場合は、距離を短くし、いったん休止することが必要となってきます。

 以上のようなことに注意して、まず非荷重でのストレッチングを行います。つま先をもって脛(すね)の方に反り返らせます。1回20秒、1日10回を3セット行います。また、足底挿板(中敷き)の装着も疼痛軽減のために有効です。縦アーチの保持のためと足底筋膜の負荷を軽くするのが目的です。

 そのほか、消炎鎮痛剤の外用薬を局所にマッサージしながら塗布します。これらが無効で局所の疼痛が強い場合は、ステロイド(局所麻酔剤併用)の注射を行います。頻回の注射は筋膜の脆弱(ぜいじゃく)化を来し、筋膜の断裂を起こすこともあるので注意が必要です。

 相談者の場合、踵部の痛みが出てきたのは最近のようですので、まずしっかりとストレッチを行ってください。それでも日常生活において痛みが出るようなら、足底挿板を装着し、痛みを取ってから少しずつ運動量を上げていくことを勧めます。

 ストレッチの方法、足底挿板の装着やランニング開始時間などは、近くの整形外科の先生と相談しながら決めていただければよいと思います。

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