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目薬の処方 対応が異なる

 【質問】60代の女性です。1年前に花の水やりをしていた時、花壇の支柱に当たって目を傷めたので眼科を受診しました。けがは大丈夫だったのですが、医師から白内障で見えにくくなっていると言われ、処方された目薬の点眼を続けました。半年後、別の眼科医に診てもらうことになり、最初の医師と同様に年相応の見え方だと言われたのに、目薬は必要ないと言われました。医師によって対応が違うので戸惑っています。白内障では、どういった症状になれば、目薬が必要になるのか教えてください。

 福本眼科 福本幸司 先生

 

 手術への考え方を伝えて

 【答え】人の目は、よくカメラに例えられます。カメラのレンズに相当するのが水晶体で、中身は透明な組織になっており、タンパク質と水分で構成されています。正常な水晶体は透明で光をよく通しますが、さまざまな原因で水晶体内部のタンパク質が変性し、濁ってくるのが白内障です。

 白内障の主な原因は加齢によるものが多く、早ければ40、50代で発症する人もいます。80代では100%発症するとも言われます。他にも糖尿病やアトピー性皮膚炎、ぶどう膜炎、外傷性、先天性、ステロイドの副作用などで発症することもあり、若年でも発症する場合があります。

 白内障による水晶体の濁り方は一人一人違うため、症状はさまざまです。視力の低下以外にも▽目がかすむ▽ぼやけて見える▽まぶしい▽明るい所で見えにくい▽一時的に近くが見やすくなる▽眼鏡が合わなくなる▽二重、三重に見える-などがあります。

 国内で承認されている白内障の目薬は、ピレノキシン(商品名カタリン点眼液、カリーユニ点眼液など)、グルタチオン(タチオン点眼液)などがあります。主な効果は、白内障の進行抑制で、症状が進むのを完全に止めて治療する効果はありません。なお、国内では未承認ですが、欧米で承認されている白内障の目薬もあります。しかし、日本で治験などはされておらず、効果や副作用は不明です。国内で承認される予定もありません。

 今回の質問で、どういった症状になれば目薬を使うのかということですが、一般的には、患者さんに前述の症状があり、眼科医が白内障と診断したものの、手術が必要なほど進行していない場合に目薬の使用を開始します。

 患者さん自身の考え方も治療方針を決める上で大切です。できるだけ手術を受けたくない、あるいは遅らせたいと考えている患者さんは、早くから点眼を始めて長期間続けることになります。一方、ほとんど点眼せずに早めの手術を希望する患者さんもいます。

 今回の相談では、先に診察した医師は、できるだけ手術を遅らせるために点眼薬を処方したと考えられます。後の医師は年齢相応の軽い白内障のため、まだ点眼の必要はないと判断したのでしょう。治療方針の違いはありますが、その判断はきちんとした根拠に基づいており、特に問題はないと思います。

 白内障による日常生活への影響や、患者さん自身の手術への考え方を主治医に伝え、点眼の開始時期や継続するかを相談してください。

 

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