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【質問】CTで石灰化や癒着

30代後半の女性です。10年前に検診で影が見つかり、精密検査の結果、左下葉の肺分画症と診断されました。当時は自覚症状がなく、年1回、レントゲン検査を行っての経過観察となりました。その後3年間は異常なく、妊娠、出産を機に検査を受けなくなりました。昨年再び、検診で要精密検査となり、9年ぶりにコンピューター断層撮影(CT)をしたところ、以前にはなかった石灰化や癒着が見られるとの結果でした。ここ数年、風邪をひくとせきが長く続いたり、普段でも黄色い痰(たん)が出たりするようになりました。乳幼児がいるので入院、手術にためらいを感じますが、早めに手術を受けた方が良いのでしょうか。また将来、がんになりやすいことはありませんか。



【答え】余裕ある時期に手術を

たかはし内科 高橋安毅

 肺は肺動脈から血液をもらっていますが、先天的に、肺動脈以外の血管(多くは大動脈)から血流を受ける肺組織が発生することがあります。それが肺分画症です。分画部は正常の肺と異なり、気管支との交通がありません。

 肺分画症は、肺の中に発生する肺葉内肺分画症と、肺の外に発生する肺葉外肺分画症に分類されます。肺葉外肺分画症は、胎児期の超音波検査などで早期に発見されることが多く、他の臓器の異常も伴うことが多いです。

 一方、肺葉内肺分画症は、周りに肺組織があるために発見されにくく、大人になってから胸部レントゲン写真の異常陰影として発見されたり、分画部への感染から肺炎を発生して、それをきっかけに発見されたりすることが多いです。また、血流の関係から心不全の症状を来して発見されることもあります。部位的には左肺の下葉に多いといわれています。

 相談者の場合も、左肺下葉に発生した肺葉内肺分画症です。肺葉内肺分画症は、わずかに気管支と交通を持つ場合があり、そのために病原菌が侵入して感染を起こし、いったん肺炎を起こすと治りにくいという特徴があります。

 肺分画症の診断は、異常陰影に流入する血管が肺動脈ではなく、それ以外の別の動脈であると見極めることによりなされます。CTや磁気共鳴画像装置(MRI)など、近年の画像診断の発達により、正確に、そして安全に診断されるようになりました。

 根本的な治療は、手術による病変部、もしくはそれを含む肺葉の摘出です。手術の適応になるのは、感染を繰り返したり、出血や喀(かっ)血(けつ)を来したり、心不全を起こしたりするケースとなります。

 相談者の場合は、9年ぶりに撮影したCTで石灰化や癒着が見られたとのことです。石灰化や癒着というのは、炎症が発生して治癒する過程でできた所見です。おそらく、9年の間に病変部に感染が繰り返し起こったと想像されます。

 ですから、相談者の場合も手術の適応になると考えますが、これまでの経過を見ると、感染の頻度や程度はそれほど重症ではないようですし、まだ小さいお子さまがいらっしゃるとのことですので、今すぐ急いで手術を行う必要はないように思います。主治医と一緒に経過を見ながら、時間的、精神的に余裕のあるときに手術を考えれば良いのではないでしょうか。

 肺分画部にがんが発生することもまれにありますが、通常の肺にがんが発生する場合と比べて多いということはありません。今後、感染のことも含めて経過観察をしていくことが大事です。

 手術は、現在では内視鏡を使って胸を開かずに行う方法が主流になっています。この内視鏡を使った手術は、胸を切って開く手術より痛みが少なく、入院期間も短く済みます。

 しかし、病変部の大きさや、癒着の具合、また流入する血管の性状などにより異なりますので、入院期間のことも含めて、一度主治医に、呼吸器外科の医師を紹介してもらい、お話をうかがってみることをお勧めします。

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