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【質問】 「引きこもり」薬で治るか

 21歳の娘が、しばしば引きこもり状態になるので病院で診てもらったら「社交不安障害」と診断されました。娘は、大学に進学して半年たたないうちに「行きたくない」と実家に戻り、自分で探してきた昼夜別々のアルバイトをしながら、気ままな1人暮らしをしています。このまま薬を内服することで治る見通しは立つのでしょうか。周囲の者にできることがあれば教えてください。



【答え】 社交不安障害 -共感することを心掛けて-

第一病院(徳島市新浜本町1丁目) 利光秀文

 「社交不安障害」とは、社会的な場面で不安や恐怖を過大に感じてしまい、日常生活に支障を来す病気です。

 プレッシャーを感じる場に直面した場合、多くの人は徐々に慣れて平常心で振る舞えるようになります。しかし、社交不安障害の方は、常に羞恥心や、笑い者にされるのではという不安感を覚え、そうした場面に遭遇することへの恐怖心を抱いています。

 以前は「まれな病気である」という認識でしたが、「全人口の10~15%の人が社交不安障害を抱えている」という海外の大規模調査の報告もあり、現在では決して「まれな病気ではない」と認識されるようになってきています。

 また、日本国内では推定で300万人以上の方がこの障害を抱えているといわれており、現代社会では多くの人に起こり得る一般的な病気です。また、10代半ばから20代前半で発病することが多く、男性より女性の方が多いといわれています。

 「薬を内服することで治る見通しは立つのか」というご質問ですが、症状が慢性化してくると、「うつ病」や「パニック障害」など、別の精神疾患の合併が問題となりますので、継続した服用が重要です。

 薬物療法としては、SSRI、ベンゾジアゼピン系抗不安薬、β遮断薬などがあります。SSRIは神経細胞間のセロトニンの量のバランスを保つ薬で、長期的な服用により不安感が軽減されていきます。

 治療としては薬物療法のほかに、精神療法があります。本人自身が不安な気持ちの起こるメカニズムを勉強し、自らに不安感を引き起こしてしまう誤った認知パターンを修正できるようにする「認知療法」や、不安が生まれる状況をあえてつくる「行動療法」などがあります。薬物療法と併せて実施することにより、回復する可能性が高くなると思います。

 また「周囲の人にできること」ですが、第1に「共感する」ことを心掛けてください。自分の悩みを共感してもらえていると感じれば、隠すことなく相談を寄せてくれるでしょう。

 回復への第一歩は、周囲の人たちへの信頼と相談から始まります。娘さんが「自分ばかり悩んでつらい思いをしている」と、孤独感にさいなまれることのないように、ご家族がサポートしていくことが大切だと思います。

 「無理をさせないこと」も重要です。社交不安障害の方は、常に心の内の不安や恐怖と闘い、それでも周囲の人から浮き上がらないように、悩みを抑えながらも何事もないように振る舞うなど、日常生活においても「頑張る」ことを強いられています。

 そこに「頑張れ」と言われることは、非常につらいことです。むやみに「頑張れ」と励ますよりも、長い目で温かく見守ってあげることが大切です。

 以上のように、病院で出された薬をきちんと飲み続け、ご家族のサポートにより、病状は良くなっていくと思いますので、焦らずゆっくりと向き合ってください。

徳島新聞2012年9月23日号より転載

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