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【質問】 軟膏剤・錠剤でも好転せず

 91歳の男性です。昨年の春からアトピー性皮膚炎で苦しんでいます。かゆくて、夜は床に入ると全身に火がついたようになります。一晩でもぐっすり眠りたいのですが、ほとんど熟睡できません。病院で診察してもらい、軟膏(なんこう)剤を全身に塗ったり錠剤を飲んだりしていますが、好転しません。他に何かいい方法があれば教えてください。



【答え】 全身のかゆみ -アトピー以外の可能性も-

藤本クリニック 宮島 修(板野郡北島町鯛浜)

 確かにアトピー性皮膚炎はかゆみが強い疾患ですが、他にもかゆみの出る疾患はありますので説明します。

 かゆみの原因となる明らかな皮疹のある疾患は、アトピー性皮膚炎、湿疹、接触皮膚炎、じんましん、痒疹(ようしん)の他に、自己免疫性水疱症、乾癬(かんせん)などの炎症性角化症、白癬などの真菌症、疥癬(かいせん)、伝染性軟属腫(みずいぼ)などです。

 また、かゆみの原因となる皮膚症状が目立たないのにかゆみを訴えるものを皮膚痒(そうよう)症といいます。ただし、これは掻破(そうは)により二次的に湿疹や色素沈着を伴うこともあります。

 皮膚痒症の原因で頻度が高いものとして、乾皮症(ドライスキン)があります。アトピー性皮膚炎に合併することがよく知られていますが、高齢者でも加齢に伴って皮脂などの潤い成分が減少し、汗の分泌が減退して発症します。

 乾燥してひび割れた皮膚はバリアー機能が障害されて刺激を受けやすく、かゆみを生じやすくなります。この状態で掻破するとさらに皮膚が障害され、かゆみが増悪するという悪循環になります。

 糖尿病や甲状腺疾患などの内分泌異常、肝炎や原発性胆汁性肝硬変などの胆汁うっ滞性肝障害、慢性腎不全や血液透析などの腎障害、真性多血症や鉄欠乏性貧血、白血病などの血液疾患、内臓悪性腫瘍や悪性リンパ腫、脳血管障害などの中枢神経障害やヒステリー、神経症、うつ病といった心理的な要因でもかゆみを生じることがあります。

 その他の原因として薬剤や食品(生の魚介類、タケノコ、シイタケ、サトイモなど)も挙げられます。

 診断はまず、かゆみの性状や病歴を聴取し、皮疹があれば観察します。必要と判断すれば皮膚生検や血液検査、画像検査を行い精査を進めます。

 治療は、原疾患がある場合はその治療を行います。一般的に抗ヒスタミン薬の内服をよく使用しますが、効果は限定的です。ドライスキンがあれば尿素軟膏、ヘパリン類似物質軟膏などの保湿外用剤によるスキンケアが効果的です。二次的に湿疹がある場合はステロイド外用剤を用います。

 薬剤性を疑う場合は、可能な限り薬剤の中止や変更を考慮します。特に、血液透析患者のかゆみは高頻度でみられ難治ですが、近年κオピオイド受容体作動薬であるナルフラフィン塩酸塩が、血液透析に伴うかゆみに対して保険適応になりました。

 また、服装はなるべく肌触りがよく、皮膚を刺激したり締め付けたりしないものを選び、厚着は避けてください。皮膚の冷却も効果があり、ぬるめの湯での入浴や擦り過ぎないことも大事です。食事は生の魚介類やアルコール、香辛料は控えましょう。

 ご質問の方はアトピー性皮膚炎とのことですが、ここに述べた通り他の疾患の可能性もあります。いずれにせよ、主治医とよく相談して治療を受けられるのが良いと思います。

徳島新聞2012年7月29日号より転載

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