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【質問】 流行中の対処法は

 30代の男性です。風疹が関西地方を中心に流行し、厚生労働省が全都道府県に対して8年ぶりに注意喚起の通知を出したことを徳島新聞の記事(5月31日付)で知りました。記事によると、徳島では5月20日までの累計患者はゼロだったようですが、患者の大半が成人男性とあり、心配しています。医療機関に相談してワクチンを接種することが望ましいとされていますが、どのように対処すればいいのでしょうか。



【答え】 風疹(三日ばしか) -男女ともにワクチン接種を-

こおりクリニック 郡 太郎(徳島市新浜本町1丁目)

 風疹は風疹ウイルスで生じる感染症で、だいたい3日で治るため、世間では「三日ばしか」とも呼ばれています。感染した人の咽頭などから、唾液や分泌物などと一緒に体外へ出て、他人へ飛沫感染します。

 飛沫感染は、直径5マイクロメートルより大きい粒子で、せいぜい1メートルの範囲内で感染するのものです。特別な空調や換気は不要ですが、手指の消毒やマスク、清掃の徹底は予防に効果があります。

 潜伏期間(感染して発病するまでの日数)が約2~3週間あり、軽い風邪のような症状で始まり、発熱したり、首周りのリンパ節が腫れたり、3~4ミリの小さいオレンジから茶紅色調の小発疹が体の中心から全身にかけての皮膚に多数出てきたりするのが特徴です。

 その他、関節の痛みや目の充血、足の紫斑、貧血、血小板低下、肝機能障害、脳炎が起こる場合もまれにあります。

 日本の過去の統計では、成人の男女比は3対1と男性に多い傾向があるようです。質問された方もちょうどその年代であり、心配されていることと思います。

 風疹を含めて、はしかや水疱瘡(みずぼうそう)、おたふくかぜなどのウイルス感染症は一般的に、子供より大人に症状が強く出る傾向にあります。風疹でも発疹やリンパ節の腫れ、関節の痛みがひどかったり、高熱が続いたりすることが多いです。

 現時点ではまだ、徳島で流行したとの報告はないようですが、身近に感染した人が出てから予防注射を打ったのでは間に合わず、感染、発症する恐れがあるので、周囲で流行する前に予防注射を受けた方が良いと思います。

 ワクチン接種の必要な人とそうでない人の違いは、一般的には病院で血液検査を受けていただき、風疹の免疫(抗体)を持っているか否かで判別します。保険が効かず自費での検査になりますので、あらかじめかかりつけ医などへ問い合わせ、注射できるかどうか、また料金を聞いておくのも良いかと思います。だいたい検査料を含めて数千円で、2~7日後には結果が分かります。

 さらに、質問された方は30代ですので、既に結婚されているか、もしくは今後結婚したり、子供を授かったりした場合は、自身が感染した後、周囲にも感染を広げる恐れもあります。

 血液検査をして抗体価が低いか、あるいは陰性であるときは、ワクチン接種をお勧めします。風疹ワクチンは副作用の少ない非常に安全なワクチンの一つですが、重大な副作用としてショック、全身じんましん、アナフィラキシーなどの報告があります。安全に、安心して接種してもらうためにも医師の診察を受け、体調の良いなるべく早い時期での接種をお勧めします。

 女性で▽妊娠している▽妊娠の予定がある▽風疹に以前かかっていない▽検査して抗体がない▽感染したがどうか分からない-といった方は、できるだけ風疹にかかっている人との接触は避けてください。

 妊娠初期の女性が風疹にかかると、おなかの赤ちゃんに先天性風疹症候群という心臓病や白内障、難聴などの重大な障害が出現することがあるため、特に注意が必要です。今後、風疹ワクチンを希望する女性は、接種1カ月前と接種後2カ月は避妊が必要です。

 家族内で発症、感染するリスクが高いので、妊婦さんを守り、元気な赤ちゃんを授かる意味でも、男性、女性ともにワクチン接種をお勧めします。

 最後になりますが、病気や感染症などは、ある程度日々の体調管理による予防が可能で、重症化を防ぐことができます。毎日規則正しい生活を意識していただき、疲労、寝不足、ストレスなどを回避して、皆さまが楽しく健康で暮らしていけるよう、かかりつけ医、県や市の医師会などへ気楽にご相談いただけましたらうれしく思います。

徳島新聞2012年7月1日号より転載

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