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【質問】 透明の鼻水止まらない

 40代の女性です。最近、透明の鼻水が出て止まりません。季節柄、花粉症ではないかと気になっています。どのような状態であれば花粉症なのでしょうか。花粉症の場合、治療薬、予防薬はありますか。日常生活で注意点があれば教えてください。



【答え】 花粉症 -薬物療法やマスク着用を-

グリーン耳鼻咽喉科 院長 馬淵厚至(吉野川市鴨島町)

 スギの花粉は、北海道と沖縄県を除いて毎年飛散します。四国では1月ごろから飛散し、飛散開始日(2日以上連続して飛散が観測された日)以後の2~4月は、特に注意が必要です。

 スギの花粉より遅れてヒノキの花粉のピークがあり、特に4月はヒノキ花粉症の症状が強くなります。イネ科の雑草(ハルガヤ、カモガヤ、オオアワガエリなど)は、5月の連休から入梅まで花粉症を起こしていましたが、地球温暖化の影響か、4月にも強く症状が出る場合があります。

 1998年と2008年のスギ花粉症有病率を比べると、全国では16.8%から26.5%へと約1.5倍に増加。徳島県でも13.8%から28.8%に倍増しています。年齢別では、4歳以下を除く全ての年齢層で有病率が増加し、2008年の有病率は40~49歳が39.1%で最も高くなっています。

 アレルギー性鼻炎の症状は、くしゃみや鼻水(水様性)、鼻づまりですが、花粉症では目や喉の症状を伴うことも多々あります。

 鼻風邪の初期には鑑別しにくいこともありますが、風邪なら粘膿性(ねんのうせい)の鼻水や発熱があり1~2週で治るといった症状の違いや、いろいろな検査で診断します。何に対するアレルギーかを調べることも重要です。

 花粉症の診断や治療は、鼻アレルギー診療ガイドラインを参考にしています。1993年に初版が出て、現在使用されているのは改定第6版(2009年)です。ガイドラインでは、花粉症を重症度と病型(くしゃみ・鼻漏型か鼻閉型か)の組み合わせで分類し、異なる治療薬を推奨しています。

 現在は花粉症に使用できる薬剤が増え、くしゃみ・鼻水に効く薬、鼻づまりに効く薬などのグループ分けが行われています。

 これまでは効果が不十分だった重症例でも、働き方の異なる複数の薬剤を組み合わせて使用することで、より高い効果が期待できるようになっています。また、薬によって服薬回数が違い、眠くなりにくい薬もあるので、自分の生活に合わせて選択することも可能です。

 強い症状が毎年出る人には、初期療法が勧められています。花粉の飛散開始時か、症状が少しでも現れた時点で治療を始めると、シーズンを通して症状が軽く済みます。症状の増悪時には、治療内容をステップアップします。

 花粉症の治療では、薬物療法だけではなく、抗原となる花粉の摂取を減らすことが大変重要です。それには▽花粉情報に注意する▽外出時はマスクやメガネを着用する▽花粉の付きやすい衣類を避ける▽帰宅時、花粉を家の中に持ち込まない▽布団カバーなどを花粉の付きにくいものに変える-などが挙げられます。

 花粉症では、花粉の飛散量によって症状の強さが変化します。それによって、薬を増やしたり減らしたりして調節し、生活の質をできるだけ落とさないようにしましょう。

徳島新聞2012年4月1日号より転載

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