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【質問】 せきや胸の痛みが続く

 40代の男性です。せきや胸の痛み、発熱が治らないので、病院に行くと「肺真菌症」と診断されました。どのような治療がされるのでしょうか。また、治療にはどれくらいの期間がかかりますか。



【答え】 肺真菌症 -手術や抗真菌薬で治療-

徳島市民病院 吾妻雅彦

 聞きなれない病名に戸惑っていることと思います。

 カビの仲間を総称して真菌と呼んでいます。真菌症とは、真菌による感染症のことをいい、真菌に対するアレルギーで起こる過敏性肺臓炎などは通常含みません。

 真菌感染が起きている部位により、体表面の皮膚などに起こる「表在性真菌症」と、肺や脳などの臓器に起こる「深在性真菌症」に分類されています。例えば、みず虫は白癬菌(はくせんきん)によって起こる表在性真菌症の代表的な病気です。ご質問の肺真菌症は深在性真菌症に含まれます。

 真菌は空気などの環境中に存在しています。毎日、吸い込むなどして体内に入ったり、口の中や皮膚に付いたりしていますが、健康な人に深在性真菌症が起こることはまれです。ステロイド剤や免疫抑制剤を飲んでいたり、白血病や抗がん剤によって正常な白血球が減っていたりするなど、抵抗力が落ちている人で病気の原因となることがあります。

 肺真菌症は抵抗力に関係なく、気管支拡張症や結核後遺症、肺のう胞など、肺の構造異常が関連する場合もありますが、あまり多い病気ではありません。

 肺真菌症の原因は、アスペルギルスやクリプトコックス、カンジダ、ムコールなどです。ご相談の文面からはアスペルギルス感染症の可能性が高いと思われますので、この病気について説明します。

 肺アスペルギルス感染症は、胸部写真や症状の進み方、肺の中での広がり方などの病態により「肺アスペルギローマ」「侵襲性肺アスペルギルス症」「慢性壊死(えし)性肺アスペルギルス症」の三つの病気に分けられます。

 肺アスペルギローマは、肺にある空洞内に菌球と呼ばれる菌の塊ができる病気です。せきやたん、血たん、かっ血、息切れ、発熱などの症状を認めることがあります。

 侵襲性肺アスペルギルス症は、先に述べた抵抗力が落ちた状態の人に見られ、発熱や体のだるさ、せき、たん、血たん、息苦しさなどの症状が急激に進行する病気です。

 慢性壊死性肺アスペルギルス症は、アスペルギローマと侵襲性肺アスペルギルス症との中間に位置する病気と考えられ、侵襲性に比べて緩やかな経過をとる病気です。

 診断はいずれも、胸部写真、たんの検査、血液検査、気管支鏡検査、手術などにより行います。治療は、アスペルギローマの場合は菌の塊がある空洞を切除する手術が根治療法と考えられています。しかし、もともと肺に病気があって手術が難しい場合は、抗真菌薬の点滴や飲み薬による治療を行います。慢性壊死性肺アスペルギルス症と侵襲性肺アスペルギルス症の治療は、経過などで手術を考慮することもありますが、治療の基本は抗真菌薬になります。

 深在性真菌症での抗真菌薬は、原因となっている真菌や病気の種類、薬自体の副作用や持病で使っている薬との飲みあわせなどを総合的に考えて選ばれます。

 治療期間は、肺クリプトコックス症以外に明確な基準はなく、治療効果などを見ながら判断しますが、月単位から1年余りの治療になることが多いように思います。原因となる真菌や病型、持病により治療方法が異なりますので、主治医とよく相談し、治療を受けられるのがよいかと思います。

徳島新聞2012年2月12日号より転載

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