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【質問】 胃の調子悪い夫が心配

 60代の主婦です。65歳の夫が最近、胃の調子が悪いらしく、胃がんではないかと心配しています。それなのに、酒とたばこをやめられません。それに、胃がんと分かれば手術がおっくうだと、病院に行こうとしません。どうしたらよいでしょうか。



【回答】 胃がん -早期なら内視鏡治療可能-

田岡病院 消化管内視鏡科医師 河野孝一朗(徳島市万代町4丁目)

 胃がんをチェックするには、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が最も有効です。バリウムを飲んでエックス線撮影をする胃の透視検査では認識が難しい、小さいがんや凹凸に乏しいがんでも、胃カメラで見つけることができます。胃カメラでは胃がんのほかに、咽頭(いんとう)(のど)がん、食道がん、十二指腸がんのチェックも可能です。

 胃カメラと聞くと、つらい検査を想像し、受けたくないという方がいますが、そういう方でも安心して検査を受けられる方法が二つあります。

 一つは、直径5ミリ程度の非常に細い胃カメラを鼻から挿入する経鼻内視鏡です。この方法だと、過去に胃カメラがつらかったという方でも、検査医と話をしながら楽に検査を受けている場面をよく目にします。

 ただし、経鼻内視鏡はカメラが細くて画質が落ちるため、胃がんを見つける目的のスクリーニング検査には向きますが、胃がんを詳しく調べる精密検査には向きません。そうした場合はもう一つの方法、セデーション(鎮静)が有効です。

 セデーションとは、催眠作用のある薬を注射して検査を受ける方法です。検査中は、うとうとしている状態で嘔吐(おうと)反射が抑えられるので、安心して検査を受けることができます。

 ご主人がもし、胃カメラがつらくて病院に行きたくないのでしたら、ぜひ、これらの方法で安心して検査を受けられることを説明いただければと思います。

 また、胃がんと診断された時に手術がおっくうとのことですが、早期であれば胃カメラで治療可能な場合があります。胃カメラを使った胃がん治療で最も治療効果が高いとされているのが、2006年4月に保険認可された内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術(ESD)です。

 ESDは、胃カメラから小型の高周波ナイフを出して、がんを切りはがす最新の治療です。この治療のよいところは、大きさに関係なく想定した範囲を残さずに一括した切除が可能なことです。早期胃がんで条件さえそろえば、大きながんでもESDで治療が可能です。

 この治療の登場で、それまで外科手術を選択していた胃がん患者さんが、胃カメラで治療可能になるケースが劇的に増えました。ESDでは、胃の内側からがんを切除するので、おなかの表面には傷一つつきませんし、術後の痛みもほとんどありません。また、通常1週間程度の入院で帰ることができます。

 ESDが可能かどうかの判断には豊富な知識と経験が必要で、また、ESDには高度な内視鏡技術が必要なため、胃がんが見つかった際には、ESDの経験豊富な専門医のいる病院を受診することをお勧めします。

 胃がんの原因として最も重要なのはピロリ菌です。また、喫煙、野菜・果実不足、高食塩摂取、遺伝などが複雑に関連して胃がんができると考えられています。ですから、胃がんに関していえば、禁酒より禁煙が重要です。ただし、酒が好きな方、特に、若い時は酒を飲むと赤ら顔になっていたのに、今は鍛えられて酒を多く飲んでいるといったような方は、食道がんになりやすいので注意が必要です。

 胃カメラで異常がなければ安心が得られます。仮に胃がんが見つかっても、早い段階なら胃カメラを用いた治療だけで完治する可能性が十分にあります。まずは、早く受診して胃カメラによる検査を受けるようにしてください。

徳島新聞2011年6月5日号より転載

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