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【質問】 便が硬く排便時に出血

 40代の女性です。便秘からくる痔(じ)に悩んでいます。便が硬く、排便時は痔核が飛び出して出血します。市販のかん腸薬はありますか。また、痔の治療のために座薬と軟こうを同時に使っていますが、どう使い分けたらいいですか。10日以上便通がないこともあります。



【答え】 痔 -便秘の原因考え対処を-

医療法人新浜医院 理事長 森 俊明(徳島市新浜本町3丁目)

 排便時の肛門出血や痔核の脱出(肛門から出ること)といった症状のために、大変つらい思いをされている様子が文面から伝わってきます。

 慢性便秘症が、痔核を含む肛門疾患の発生や病状の悪化に少なからず関わっていることは、一般的によく知られています。肛門疾患の種類には、痔核(内痔核、外痔核)・裂肛・痔ろうなどがあり、それぞれの症状に特徴があって、2つ以上が合併する場合もあります。

 特に、排便時または排便直後に見られる出血(真っ赤な新鮮血)は、痔核・裂肛における頻度の高い症状です。肛門疾患の出血場所である肛門内部(外科的肛門管)は、長さ3~5センチの筒状の形をしており、その表面を覆っている組織は、手前から<1>皮膚に近い組織(皮膚と違い脂腺、毛根がない)<2>移行帯上皮<3>直腸の粘膜-の順になっています。

 同じ出血でも、裂肛のように外側が切れて出血をすると、皮膚が切れたときと同じように痛みを伴うことが多いのですが、奥にできた内痔核表面の粘膜からの出血は、痛みを伴うことが少ないです。

 質問には、痛みに関する記載がありませんので、裂肛状態ではなく、排便の際に苦労することが引き金となる痔核からの出血と痔核自体の脱出と思われます。

 このような場合、便秘の改善が最も大切です。便秘には、機能性便秘と器質性便秘と呼ばれるものがあります。多くは機能性便秘で、主に▽腸の動きが悪くなり、内容物が大腸に貯留して必要以上に水分が吸収される弛緩(しかん)性便秘▽自律神経失調などにより大腸が過度にけいれんの収縮をするために、腸管内腔が挟まり大腸内容物の輸送に時間がかかるけいれん性便秘▽直腸内圧に対する感受性が低下し直腸反射が減弱して便意を生じなくなるため、便が大腸に貯留する時間が長くなる直腸性便秘-の三つがあります。

 自分の便秘がどのような原因から起こっているのかを理解して、生活上の対処、あるいは治療をしなければなりません。

 市販のかん腸薬は、自己またはご家族による使用になりますので、薬剤に対する知識や使用方法の理解が大切です。市販のものは、粘膜などを傷つけることがないようにノズルが短くなっていますが、それでも100%安全ではなく、繁用することによる薬剤の弊害の心配も皆無ではありません。購入の際に薬局でよく説明を聞いてから使用していただきたいと思います。

 肛門疾患に使用する座薬と軟こうの使い分けについてですが、市販されているものをお使いなのでしょうか。医療機関が扱っているもので言えば、同一成分組成で座薬と軟こうの2種類を発売しているものがあります。大ざっぱに言えば、自分に合った使いやすい方を使用すればいいし、座薬単独で使いにくい場合は、少量の軟こうを付けて使うとスムーズにいくことがあります。

 製品名が異なる場合は、薬剤によって、ステロイドホルモンや局所麻酔薬の含有の有無など、成分が微妙に異なります。特に、アレルギーの既往のある方、妊娠またはその可能性のある方、長期使用の方などは要注意です。

 質問された方の状態は、ある程度進行していると思われます。便秘の改善とともに、出血による貧血症状などに至ることがないよう、痔核自体の治療も大切です。

 肛門からの出血には、肛門疾患以外の原因も常に念頭に置く必要があります。特に、難治性の潰瘍(かいよう)を伴う大腸疾患や悪性腫瘍の可能性もありますので、専門医を受診してください。

徳島新聞2011年4月17日号より転載

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