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【質問】 健診結果に炎症の痕跡

 60代の女性です。健康診断の胸部レントゲン撮影の結果に「石灰化巣(せっかいかそう)陰影」と書かれていました。細菌やウイルスの炎症の痕跡で気付かないものがほとんどということですが、気になります。自覚症状はないのですが、何も対処しなくていいのか教えてください。ちなみに40~60歳に喫煙し、1年前からめまいがあり、高血圧とコレステロールの数値が悪く服薬しています。



【答え】 胸部の「石灰化巣陰影」 -「精査必要」以外は安心-

東徳島医療センター 呼吸器科医長 森 健一

 健診の結果、精査が必要か不要かについて、ご質問には記載がありませんが、精査不要と判断されているのであれば「気にすることはなく、何も対処しなくてよい」となります。

 健診で指摘される肺の石灰化巣というのは、肺結核など古い炎症性の瘢痕(はんこん)(傷あと)であることがほとんどです。もちろん、肺に石灰化を来す疾患はいくつかありますが、肺全体に石灰化が見られる肺石灰化症などのような疾患は、頻度が大変少なく、健診で見つかることはほとんどありません。

 一般的に、健診の結果にある「肺の石灰化巣」は病名ではなく、あくまでも所見です。よって、そのように記載されていても、精査不要との判断がされている場合は、まず問題にならないことが多いです。特に、肺がんの場合は石灰化を来すことはまずなく、石灰化の所見が認められれば肺がんを否定してもよいと思われます。

 また、かなり広範囲に石灰化の所見があったとしても、普通は、それが原因で自覚症状が出ることはありません。

 結核は、一昔前までは国民病といわれ、多くの人が罹患(りかん)していました。減少したとはいえ、今でも全国で1日に68人の新しい患者が発生し、6人が命を落としている重大な感染症です。

 結核は慢性炎症の代表的な疾患です。治癒過程で石灰化を起こすので、胸部のレントゲンで、肺や胸膜、肺門リンパ節に石灰化が認められ、60~70歳以上の年齢であれば、結核の既往が疑われることになります。

 結核治療の既往があれば明らかですが、限局した石灰化巣だけであれば、ご本人も気付かない(結核治療の既往がない)場合もあります。

 結核以外にも、何らかの刺激に対する慢性炎症の結果、瘢痕治癒としての限局した石灰化が起こると思われますが、原因を特定することはできないと思います。もちろんこの場合も特別の対応は不要です。

 胸膜や肺門リンパ節に石灰化を起こすものに、塵肺(じんぱい)やサルコイドーシスがあります。塵肺は、粉塵(珪肺(けいはい)、アスベスト肺など)を吸入することによって起こる肺の疾患です。サルコイドーシスは原因不明の疾患で、全身の臓器に類上皮細胞肉芽腫(にくげしゅ)病巣を作る疾患です。これらの疾患は、石灰化だけではなく肺の異常陰影を伴いますので、精密検査が必要になります。

 石灰化は、慢性炎症の結果、変性壊死(えし)に陥った部位にカルシウムが沈着することで生じます。血液のカルシウム濃度が正常でも起こりますが、さまざまな原因(副甲状腺機能亢進(こうしん)・腎透析・ある種の腫瘍など)により高カルシウム血症となり、腎臓や胃、肺などに石灰が沈着することがあります。例えば、長期透析の合併症として肺石灰化症がありますが、極めてまれであり、基礎疾患がありますので、健診で発見されることはないと思われます。

徳島新聞2011年3月20日号より転載

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