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【質問】 独り言や物忘れひどい

 70代の母の物忘れがひどく、認知症ではないかと疑っています。来客があったことを忘れたり、独り言やわけの分からないことを言ったりすることがあります。認知症と健忘症とはどのような違いがあるのでしょうか。認知症の場合、進行を遅らせるにはどうすればいいのでしょうか。



【答え】 認知症 -うつ病や薬の副作用も-

八多病院 院長 八多順子(徳島市八多町)

 まず、認知症と健忘症の違いについてお答えします。

 新しいことを頭の中に記録し、その記録を保存し、さらに必要なときに記録を引っ張り出すという一連の機能を記憶と呼びます。これができないのが記憶障害、つまり健忘です。

 一方、認知症とは認知機能の障害です。認知機能とは、記憶のほかに、思考、見当識、理解、計算、学習能力、言語、判断など多くの機能を含みます。

 ですから、新しいことを覚えたり、以前覚えたことを思い出したりすることができないということは、認知症でも健忘症でもみられます。しかし、認知症ではそれに加えて▽自分がどこにいるのか分からない▽段取りよく行動できない▽何をどうしたらよいか分からない▽物の名前が分からなくなる-など、さまざまな症状がみられます。

 特に疾患でなくても、年齢を重ねると、いわゆる物忘れは多くの人にみられるようになりますが、加齢による物忘れの場合は、ヒントによって思い出すことができます。物の名前も出にくくなり「あれ」とか「それ」とか、固有名詞を使わずに会話を進めることが増えるのではないでしょうか? でもこの場合、相手に言われると思い出せます。

 次に、認知症の予防や治療についてですが、同じように認知機能の障害がみられても、実は▽身体のほかの病気▽身体の病気のために飲んでいる薬の副作用▽うつ病などほかの精神疾患-の場合によるものがあります。脱水や貧血などの場合もあります。これらの場合は、それらの疾患に対する治療や薬の調整、生活の改善などが必要になります。

 年齢を重ねていくと、思ったように頭や身体が動かなくなったり、親しい人との別れを経験したりする、いわゆる喪失体験が多くなりますから、うつ病になっている場合も少なくありません。

 また、認知症にも幾つかの種類があり、進行の程度によっても症状は違ってきます。高齢者の場合は、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症が大部分です。

 これらの認知症に対する治療法ですが、現在の日本では、アルツハイマー型認知症に対して、その進行を遅らせる効果があるとされる薬が1種類あるのみです。生活上で支障になる症状に対する対症療法を行うことが多いのが現状です。頭痛に痛み止め、発熱には解熱薬、というのと同様ですね。

 アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は徐々に進行します。また、加齢による認知機能の低下状態から軽い認知症に移行する時期もありますから、どこからが認知症かがはっきりしない場合がほとんどです。血管性認知症も、はっきりしない程度の小さな脳血管障害の場合は、その発病時期がはっきりしませんが、脳卒中などの後遺症として発症する場合は発病の時期が特定できます。

 思い出させるためにヒントを出しても全く思い出せない健忘や、勘違いや聞き間違いでは済まないようなおかしな言動などは認知症が疑われます。しかし、同じような症状になる疾患を除外するためにも、一度医療機関を受診されることをお勧めします。

徳島新聞2010年11月7日号より転載

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