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【質問】 締め付けられる痛み

 40代の男性です。5年前、仕事中に胸が締め付けられるように痛くなり、心電図で調べたところ、期外収縮が起きていると言われました。心臓の電気信号を24時間記録するホルター心電図を装着しましたが、大きな異常はありませんでした。どのような病気が考えられますか。その後は受診していませんが、何もしなくても大丈夫ですか。



【回答】 期外収縮 -心疾患の有無 検査必要-

田蒔病院 内科 井形次郎(徳島市国府町)

 心臓は一般的に、1分間に60~90回規則正しく収縮しています。しかし何らかの理由で、心臓に収縮を指令する部位(洞結節(どうけっせつ))とは別の場所からの電気刺激が生じたために、本来の周期よりも早く収縮することがあります。これを期外収縮といいます。その余分な電気刺激が、心室から生じる場合を心室期外収縮、心房あるいは房室接合部から生じる場合を上室期外収縮といいます。

 期外収縮は不整脈の中で最も多くみられ、経験していない人はいないといわれるほど一般的なものです。基本的には放っておいてもよい不整脈で、自覚症状を感じない人も多いですが、心臓が一瞬止まるような感じや脈が飛ぶような感じ、どきんとなる感じを自覚する方もいます。また、期外収縮が連続するような場合は、胸部の圧迫感や胸痛を感じることもあります。

 期外収縮は病気に関連して起こることもありますが、多くは病気とは関係なく、自律神経的な要因やストレス、飲酒、喫煙などで起きます。

 ただし、心室期外収縮の一部は、心筋梗塞(こうそく)や狭心症といった虚血性心疾患や、心筋症などの心疾患が原因で起きていることがあり、その場合は、心室頻拍や細動などの危険な不整脈に移行する可能性があります。

 そのため、期外収縮を指摘された場合は、原因となるような心疾患がないか、また、危険な不整脈に移行する可能性がないかどうかを、調べておく必要があります。

 期外収縮に対する検査は、一般的な心電図検査や胸部エックス線検査のほかに、出現頻度やタイミングをみるためにホルター心電図を用います。また、心臓の肥大や拡張の有無、壁運動に異常がないかどうかを調べるための心臓超音波検査、運動によって期外収縮が増えるか減るかを調べるための運動負荷検査も行います。

 自覚症状がなくて原因となるような心疾患もないようであれば、治療は必要なく、日常生活で特別な制限もありません。異常がなくても、自覚症状が強い場合は、抗不安薬や抗不整脈薬の投与が選択されます。明らかな心疾患によって期外収縮が出現している場合は、その疾患に対する治療を行います。

 質問にある胸の締め付けられるような痛みに関しては、文面からは詳細が分からないため何ともいえませんが、その際に期外収縮が連続していた可能性が考えられます。その後の精査で異常がなく、自覚症状もないようですので、経過をみられて構わないと思います。

 ただし、痛みの原因が狭心症である可能性も否定できませんので、気になるのであれば循環器専門医を受診し、相談することをお勧めします。

徳島新聞2007年8月1日号より転載

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