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【質問】 薬塗っても次々に出る

 高校生の息子のにきびが心配です。皮膚科で塗り薬をもらうのですが、一時的によくなっても、次々と顔に出てきてきりがありません。ヨーグルトや茶葉、卵の白身を塗る方法を聞いたことがありますが、効果はあるのでしょうか。何かいい方法はありませんか。



【答え】 にきび -刺激避けスキンケアを-

戸田皮膚科院長 戸田則之(徳島市安宅1丁目)

 日ごろから私たちがにきびと呼んでいる症状は、思春期以後に発症する皮膚変化で、多くの人が経験するものです。ひどいにきびは傷跡を作り、美容の面で大きな精神的苦痛となります。

 顔や胸、背中などにできる赤いプツプツは毛包(毛の根元にある袋)や皮脂腺(せん)が炎症を起こしている状態なのです。原因は主に▽過剰な皮脂の分泌▽毛穴の出口が詰まる▽アクネ菌の繁殖-などが挙げられます。

 まず、過剰な皮脂の分泌は、思春期に性ホルモン、特に男性ホルモンの分泌が増えることで起こります。ちなみに男女とも、男性ホルモンと女性ホルモンが分泌されます。皮脂腺では主に中性脂肪が作られ、この脂は毛包を通って皮膚表面を覆いますが、皮脂腺の働きが性ホルモンによって高進し、皮脂分泌が増加してしまうのです。

 次に、毛包の閉塞(へいそく)は、原因はよく分かっていませんが、毛穴の出口近くで閉塞が起こった場合、分泌された皮脂は外に出られなくなります。この状態が続くと毛包は徐々に膨れ上がり、結果として皮膚表面が盛り上がります。この状態を面ぽうと言います。これには2種類あり、正常皮膚色の小さな盛り上がりとしてみられる白にきびと、黒色の固まりとしてみられる黒にきびがあります。

 最後にアクネ菌についてですが、この菌は毛包にすんでいて誰もが持っています。毛包に皮脂が過剰にたまった面ぽう状態では、アクネ菌が皮脂を食べて生きているため、この菌にとっては最適な環境となって増殖します。増殖したアクネ菌はいろいろな物質を産生して毛穴の閉塞や炎症反応を引き起こし、その結果、炎症性の赤にきびができてしまうのです。炎症がさらに進むと毛包が壊され膿(うみ)を持つようになります。

 膿を持った毛包がさらに進行、悪化すれば硬結(こうけつ)(しこり)となり、この状態を放置すれば陥没したにきび痕(こん)や、あごや胸に見られる盛り上がったケロイド様の傷となります。にきび年齢を過ぎた後ににきび痕を残さないようにするために、症状にあった治療法を選ぶ必要があります。

 にきびのできるメカニズムを理解し、スキンケアを毎日欠かさず行うことが大切です。にきびを悪化させる要因と注意点を記しておきます。

 まず、刺激についてですが、髪の毛が当たる部位や、ほおづえをつく場所は意識して避ける工夫が必要です。にきびを隠すヘアスタイルもよくありません。

 次に、化粧品はできればやめた方がいいです。女性は欠かせないので、油脂成分の少ないものを選んで化粧時間を短くし帰宅後は早めに化粧を落とすことをお勧めします。

 食事は糖分や油脂の過剰摂取を控え、カロリーの取り過ぎに注意しましょう。便通の調整も必要です。

 洗顔は刺激の少ない石けんを使い、ぬるま湯で1日2~3回は優しく丁寧に洗顔をしましょう。また重要なポイントは手や指で強くこすらず、十分にすすぐことです。

 医療機関での治療は、日常のスキンケアを行うとともに、塗り薬として面ぽうに対するイオウ製剤、毛穴の閉塞改善薬(アダパレン)、アクネ菌を減らす抗菌製剤を使用します。重症例では飲み薬を症状に合わせて併用します。

 近年、ケミカルピーリング、光療法、レーザー治療などがありますが、保険適用外であることや副作用などを理解した上で、受ける必要があります。質問の治療方法の効果は不明です。

 生活習慣を見直し、医師から症状に応じた的確なアドバイスを受け、焦らず根気よく治療を行うことではないでしょうか。

徳島新聞2010年6月20日号より転載

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