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【質問】 合併症あり手術が心配

 80代の女性です。2カ月ほど前から、体勢によって膣(ちつ)から子宮が出てきます。病院では子宮脱と診断され「もっと下がってくるようなら手術しましょう」と言われました。しかし、私は心筋梗塞(こうそく)で心臓にステンドを入れており、高血圧で糖尿病もあります。3年前に胆石の手術をしたときに「今後全身麻酔はだめ」と言われました。どうして子宮は下がってきたのでしょうか。手術とはどのようなものなのでしょう。これ以上、子宮が下がらないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。



【答え】 子宮脱 -総合病院への相談 お勧め-

徳島赤十字病院 猪野博保

 子宮脱は非常に身近な病気で、老年女性の10%程度がかかると推定されています。多産、加齢(女性ホルモン欠乏)、重いものを持つといった生活習慣、肥満、虚弱体質などが原因で起こりやすい病気です。

 程度により子宮下垂、部分子宮脱、完全子宮脱があります。自覚するのは、子宮下垂の段階ではなく、子宮口が膣外まで下降した部分子宮脱の状態からです。症状としては、排尿障害(頻尿、残尿、尿失禁、尿閉)、排便障害、脱出による異物感などがあります。膀胱(ぼうこう)の下垂が強くなると尿管の屈曲による水腎症、腎不全などの合併症もあります。

 40代から発症しますが、閉経後の発症が多いようです。高齢者が多いので、糖尿病、心疾患、高血圧の合併症のある患者も多く、治療開始の前に全身の検査が必要な場合があります。

 糖尿病、心筋梗塞があるようですが、治療が可能かどうかは代謝内分泌科、循環器内科の医師と相談の上で決定しますので、総合病院で相談したらよいと思います。

 質問の内容から、発症からの期間が短く、部分子宮脱と思われますが、治療時期は、本人が不自由を感じたときです。治療方法は基本的にペッサリーの装着か手術になりますが、性器脱の程度や症状、年齢、持病の有無など全身の状態と患者自身の希望によって決めます。

 保存的治療法としては、腟の中にペッサリーを挿入し、下から子宮を支えて位置を矯正する方法があります。適切な大きさのものを装着すれば異物感はありませんが、長期に使用すると帯下の増加、膣壁への圧迫創や埋没もみられます。根治性はありませんので、よほどの合併症がない限り手術をお勧めします。

 手術は、子宮を残す方法と摘出する方法がありますが、子宮の悪性化を考慮して摘出する場合が多いようです。開腹は行わず膣式に子宮を摘出し、膀胱、直腸、骨盤底を上げます。手術時間は2時間前後で、入院は1週間くらいです。

 高齢の女性には、身体への負担が軽い腟閉鎖術が行われることもあります。同時に尿失禁の処置も行いますので、大半の人は尿漏れはなくなりますが、逆に修復術を行った後で、手術前にはなかった尿漏れが現れるケースもあります。

 骨盤臓器脱(性器脱)手術は再発もあり、ポリプロピレンのメッシュで弱くなった支持組織を置き換えるメッシュ(TVM)手術が行われるようになりました。優れた人工材料が市販され、広まりつつありますが、新しい手術なので合併症もあり長期成績の評価は分かりません。

 予防には、骨盤底筋訓練法があり、軽度の尿漏れには効果がありますが、脱出した臓器を元に戻すほどの効果は期待できません。

 多くの患者は長期間悩まれた末で受診されますが、完全子宮脱出でなくても手術は可能です。治療後はほとんどの人が満足していますので早めに受診、相談されることをお勧めします。

徳島新聞2010年4月11日号より転載

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