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【質問】 腫瘍広がり手術勧められる

 70歳の女性です。5年前から甲状腺腫があって、定期的に受診しています。ただ、甲状腺のホルモンは正常で薬は処方されていません。先日の受診で、腫瘍(しゅよう)が鎖骨まで広がっていたため、手術を勧められました。やはり手術は必要でしょうか。リスクはありませんか。



【答え】 結節性甲状腺腫 -リスク低く根治的療法-

徳島市民病院 外科 露口 勝

 甲状腺の病気は、甲状腺全体がびまん性に腫れるものと、甲状腺に結節(しこり)ができるものがあります。前者をびまん性甲状腺腫、後者を結節性甲状腺腫と呼んでいます。

 甲状腺ホルモンを過剰に産生する甲状腺機能亢進(こうしん)症(バセドウ病)や、甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症(慢性甲状腺炎あるいは橋本病)は、いずれも甲状腺がびまん性に腫れてくる疾患で、びまん性甲状腺腫に分類されます。

 ご質問の方は、甲状腺ホルモンの異常はなく、腫瘍と診断されていますので、結節性甲状腺腫と考えられます。

 結節性甲状腺腫は良性と悪性に分けられ、さらに、良性は腺腫と腺腫様甲状腺腫に、悪性は4種類の甲状腺がんと悪性リンパ腫に分けられます。4種類のがんとは乳頭がん、濾胞(ろほう)がん、髄様(ずいよう)がん、未分化がんです。それぞれのがんは特徴を備えています。

 甲状腺がんは一般的に、予後が良いものとみられていましたが、乳頭がんのようにおとなしいがんもあれば、1年以内にほとんどの人が死に至る極めて悪性の未分化がんもあります。甲状腺結節が良性であるか悪性であるかを鑑別し、さらに、悪性の場合にどの種類のがんであるかを診断することは、その後の治療方針を決める上で重要となります。

 甲状腺結節の診断は、触診をしたり、超音波検査で結節の形態や性状をみたりすると、良性か悪性かをある程度判断できます。大きな結節ではCTやMRI検査も有用です。良悪性の確定診断は、細い注射針で甲状腺結節の細胞を採取し、顕微鏡検査で行います。これを穿刺(せんし)吸引細胞診といいます。

 しかし、細胞診の精度は100%正確というものでなく、甲状腺がんの種類によっては確定診断の難しいものがあります。特に良性の濾胞腺腫と悪性の濾胞がんの鑑別診断は極めて困難とされています。

 したがって、甲状腺結節の大きさや硬さはどうか、内部は充実性か嚢胞(のうほう)性か、辺縁の性状は平滑か不整かなど腫瘍の形態上の特徴を詳細に観察し、悪性の可能性を否定できない場合には手術を勧めることがあります。また、良性腫瘍でもけい部に圧迫症状のある人や大きくて美容的に問題になる人には手術を勧めます。

 次は甲状腺腫瘍の治療についてです。良性で嚢胞性腫瘍の場合、内容液を注射器で吸引除去したり、アルコール注入を行ったりするなど保存的治療(非手術的治療)でうまくいくことがあります。しかし、一般には根治的な手術療法が選ばれます。手術は全身麻酔で行われ、1週間程度の入院が必要になります。手術リスクは低く、手術合併症としてしゃがれ声や手足のしびれをきたすことがありますが、良性腫瘍の手術ではまれです。

 ご質問の方は5年前から甲状腺腫瘍があり、鎖骨に及ぶまで増大してきているようなので、悪性の可能性も考慮して手術を勧められたものと思われます。担当医にそのあたりの事情をよく聞かれて、ご自分で納得して手術を受けられることをお勧めします。もし、診断や治療に疑問があるようでしたら、専門医にセカンドオピニオンを求めることもよいと思われます。

徳島新聞2009年12月13日号より転載

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