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【質問】 症状や治療法を教えて

 18歳の女性です。部活でバレーボールをしていますが、数カ月前からすねに痛みがあり「シンスプリント」ではないかと思っています。症状や治療法について教えてください。また、部活中に気を付けることはありますか。

【回答】 シンスプリント -患部を冷やし安静第一-

かじかわ整形外科 梶川智正(阿南市日開野町)

 ご質問の内容より、今回の症状は、繰り返しのランニングやジャンプなど「オーバーユース(使い過ぎ)」によって発症したものと考えられます。

 繰り返し地面をけることで、脛骨(けいこつ)の内側に付着しているヒラメ筋や、足の親指以外の指を曲げる長趾(ちょうし)屈筋、足の親指を曲げる長母趾(ちょうぼし)屈筋、つめ先を下と内に曲げる後脛骨(こうけいこつ)筋などが繰り返し伸長され、ストレスが局所的にかかって、骨の表面である骨膜に炎症が生じます。

 すねの部分は脛骨と腓骨(ひこつ)の2本の骨から構成されています。脛骨の内側下3分の1、目安としてうちくるぶしから12~20センチの範囲にストレスがかかり、発症したものを特に「シンスプリント」と呼んでいます。

 原因は、オーバーユース以外に、▽トレーニング内容▽筋や腱(けん)の柔軟性の低下▽扁平足(へんぺいそく)など足底部のアーチの低下▽練習時や日常で使用する靴▽がたがたした不整な地面や硬い路面-というような、さまざまな要素が考えられます。

 治療は安静が第一とされ、患部を冷却(アイシング)することが大切です。 安静に関してさらに言えば、今回の場合は「積極的安静」がよいと思われます。積極的安静とは、患部の負担を軽減させながら、なおかつ、ほかの部位は受傷前のコンディションを維持することです。完全休養してしまうと、症状は一時的に和らぎますが、現場へ復帰した際、休養中の遅れを取り戻すために無理をして、再発してしまう例が多いようです。

 お勧めのトレーニングとしては、エアロバイクやスイミング、ウエットベルトを着用しての水中ジョギングなどがあります。また、練習前後のストレッチが大切です。練習前のストレッチは体をよく温めてから、練習後のストレッチは、まず患部をアイシングしてから行うようにしましょう。

 ストレッチは、ひざを伸ばしてつま先立ちをするカーフレイズ、かかとを床につけたまま足を伸ばし、足の指でタオルをたぐり寄せるタオルギャザー、床に置いたビー玉を足の指で拾うマーブルピックといった種類を取り入れましょう。

20091018シンスプリント

 また、身体的素因を改善するために、装具療法やテーピングがあります。装具は足底のアーチを補強する足底板が主で、テーピングは患部を圧迫する方法と足底のアーチを補強する方法とがあります。

 部活を続けるには、早期発見・早期治療が大切です。どの大会に照準を絞り、今の自分はどうするべきかを考えること、つまり自己管理が重要です。

 ただし、今回の場合、痛みの部位によっては「疲労骨折」の可能性もあります。早期に専門である整形外科医に相談することをお勧めします。

徳島新聞2009年10月18日号より転載

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