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【質問】 検査内容はどんなもの

 50歳の男性です。最近、言葉が出にくくなるなどの症状があり、雑誌で脳ドックというものがあることを知りました。受診したいのですが、どのようなことを調べるのでしょうか。検査内容や費用を教えてください。



【答え】 脳ドック -MRIなどで疾患発見-

健康保険鳴門病院 脳神経外科 阿川昌仁

 脳ドックの目的は、磁気共鳴画像装置(MRI)や磁気共鳴血管撮影(MRA)による画像診断を中心とした一連の検査によって、無症候や未発症の脳・脳血管疾患、あるいはその危険因子を発見し、それらの発症や進行を防止しようとするものです。

 主な発見の対象は、<1>無症候性脳梗塞<2>脳卒中の危険因子<3>未破裂脳動脈瘤<4>無症候性頭蓋内および頸部血管閉塞・狭窄<5>高次脳機能障害<6>その他の脳疾患で、それらの結果について判定と指導が行われます。

 脳ドックの検査項目としては、施設により多少異なりますが、血圧測定、腹囲、体格指数(BMI)、眼底検査、一般血液検査、血管内の血液の固まりやすさを判定する血小板凝集能検査、尿検査、心電図検査、胸部X線検査、高次脳機能検査、そしてMRI、MRAなどです。総合判定の説明は通常、脳神経外科の専門医によって行われます。

 ご質問にある「言葉が出にくくなる」などの症状としては、一過性脳虚血発作(TIA)という病態が考えられます。

 TIAの定義としては、言語障害、手足の脱力、しびれ感など脳神経系の脱落症状が突然現れて、通常は数分から数十分で症状が消え、長くとも24時間以内には消失するものとされています。一過性であっても脳梗塞を引き起こす前触れ発作とされ、そのまま放置しておくと、5年以内に脳梗塞へ移行する人が20~40%ぐらいいると報告されています。

 脳疾患の言語障害は、大きく失語症と構音障害の2種類に区別されます。失語症はさらに、言葉の内容が分かっているのに声に出して話せない「運動性失語症」と、話はできても言葉が理解できず、つじつまが合わないなどの「感覚性失語症」に分かれます。構音障害の場合には、話す内容に間違いがないのに舌や口唇の運動が障害されるためにうまく話すことができず、ロレツが回らないといった症状になります。

 脳ドックの日程や費用は病院によって異なります。日帰りコースや1泊2日コースなどがあり、4~6万円程度になります。通常は予約制で、個人での申し込みのほか、職場からの申し込みなどで受けることもできます。徳島県内で脳ドックを実施している病院は多数あります。お近くの「脳神経外科」のある病院へお問い合わせください。

徳島新聞2009年10月4日号より転載

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