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【質問】 妊娠6カ月で腰に激痛

 31歳の女性です。現在妊娠6カ月ですが、腰に激痛があり「腎盂(じんう)腎炎」と診断されました。妊娠や胎児に悪影響がないか心配です。出産すれば治るのでしょうか。普段の生活で気を付けることはありますか。



【答え】 腎盂腎炎 -放置すれば敗血症の危険-

徳島大学病院産婦人科 須藤真功

 腎盂腎炎とは尿路感染症の一つで、膀胱(ぼうこう)から尿管、腎臓へと、細菌が上行して発症することがほとんどです。

 一般に、妊娠中は非妊娠時に比べて尿路感染症の頻度が高くなるといわれています。その理由として、妊娠に伴う尿路の変化が挙げられます。妊娠が進行し、増大した子宮が骨盤腔(くう)を超える妊娠4カ月以降になると、尿管が圧迫され、腎臓や尿管が腫れることが多くなります。

 このような尿路の圧迫に加え、妊娠中に増加するホルモン物質の作用も関与して、尿路系の筋肉が弛緩(しかん)し、残尿量の増加や膀胱から尿管への逆流が生じることにより、上行性に細菌が感染しやすくなります。この現象は、妊娠子宮の傾きや大腸、血管などの影響により、右側に多い傾向があるといわれています。

 腎盂腎炎は、妊婦の約1~2%に発症するとされています。症状としては、38度以上の発熱をきたしたり、背中に痛みを感じるようになったりします。放置して治療の時期が遅れると、症状が重くなり、腎機能が低下したり、菌が血液に入って、敗血症と呼ばれる全身の感染症に進展したりすることがあります。

 胎児には直接の影響はなく、早期に治療して治癒すれば、特に妊娠に影響がないことがほとんどですが、重篤化すると、炎症によって子宮収縮が生じ、陣痛が始まることがあり、妊娠の早い時期に起こると流早産になってしまう可能性があります。症状を認めたときは、早めに医療機関で治療を受けるようにしましょう。

 治療は、高熱による衰弱もあるため、ほとんどの場合、入院しての治療が必要となります。腎盂腎炎の原因菌は、その大半を大腸菌が占めます。速やかな治療の開始が要求されるため、尿培養による原因菌検索の結果を待たず、抗生物質の点滴投与を開始します。

 症状が消失し、尿培養の菌が陰性化した後も、再発が生じる可能性がありますので、その予防と早期発見に努める必要があります。水分を十分に摂取し、定期的に検査をして、再発が生じていないことを確認していきます。

 予防としては、水分摂取のほか、トイレを我慢しないことが重要になります。排便後、肛門(こうもん)を前から後ろに向かってふくことや、下半身を冷やさないようにすることも予防効果があるといわれています。

 また、腎盂腎炎は上行性に感染が波及することで発症することがほとんどですから、腎盂腎炎になるまでの間に膀胱炎を伴う場合があります。その症状は、排尿時痛や頻尿、残尿感などです。このような症状があるときは、早めに医療機関で診察を受けるようにしましょう。膀胱炎と診断された場合は、水分摂取および抗生剤の投与を行い治療することが必要になります。

 腎盂腎炎は早期診断、早期治療が必要な疾患です。気になる症状があるときは、早めに医療機関に相談するように心掛けてください。

徳島新聞2009年9月20日号より転載

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