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【質問】 靴に触れると親指に痛み

 30代の女性です。足の親指の外側に、うおのめがよくできます。靴に触れると痛みがあり、カッターで削っていますが、夏にサンダルを履きたいので困っています。うおのめの原因と治療法を教えてください。



【答え】 うおのめ -除去し履き物にも留意を-

さかお皮フ科クリニック 坂尾佳久(徳島市国府町)

 うおのめは、足の裏や足の指などにできる硬い皮膚病変で、中心に鶏の目、魚の目のような芯(しん)が見えるので、専門用語では鶏眼(けいがん)、俗にうおのめと呼ばれています。

 皮膚の一番外側には、角質層と呼ばれる硬い層があり、圧迫などの刺激から身体を保護しています。何らかの理由で一定の場所に繰り返し圧迫が加わると、角質が増殖して厚く芯のようになり、表皮の下の部分にある真皮に向かって、くさび状に食い込んでいく場合があります。このようにして生じるのが鶏眼です。

 歩行などに伴い、くさび状に食い込んだ角質の芯が神経を圧迫し、激しい痛みを生じるのが特徴です。足の裏の外側に近いところ、小指の外側や、薬指と小指の間によくできます。

 治療は、まず、歩行時の激しい痛みを取ることが必要です。これには、痛みの原因であるくさび状に食い込んだ角質を除去する処置が行われます。

 よく行われる方法は、中心部の目の部分だけを、カミソリや先のとがったメスで削り取る方法です。病変部がかなり硬い場合は、病変部と同じ大きさか、やや小さめに切ったサリチル酸含有ばんそうこうを数日間張り、角質を軟らかくした後に削り取ります。

 サリチル酸含有ばんそうこうが大き過ぎたりずれたりすると、周囲の正常な皮膚を傷つけることがあるので注意を要します。また、市販の穴あきパッドも痛みの緩和や再発予防に有効です。

 角質を除去すると、痛みは一時的に改善されます。しかし、ご質問のように、同様の圧迫が加わることで再発しやすいため、圧迫の原因を除くことが非常に大切です。

 圧迫の原因には、窮屈な靴、足の変形、歩き方の異常、長時間の歩行などが考えられます。例えば、不適切な靴を使用している場合は、自分の足に合った靴に替えることで症状が改善する場合があります。また、明らかに骨の変形や歩行異常が見られる場合は、整形外科的治療が必要と思われます。

 鶏眼は日常にしばしば見られる皮膚疾患で、再発しやすいのが特徴ですが、圧迫の原因を除くことで改善が望めます。鶏眼の診断は容易ですが、イボとの区別がつきにくいときがあります。足の裏にできるイボは、普通のイボのようには盛り上がらず、皮膚の中にのめり込んでいる場合が多いので、鶏眼と間違えることがあります。

 また、痛みが強いときは細菌感染を合併していることもありますので、一度、専門の医師に相談することをお勧めします。

徳島新聞2009年7月5日号より転載

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