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【質問】 息子の鼻水が止まらない

 今春から県外の大学に通っている息子のことで相談します。先日息子が帰省した際に気付いたのですが、鼻水がひっきりなしに出て止まらないことが何度もありました。聞くと、6月下旬から不定期で起こっているとのことです。耳鼻科への受診を勧めていますが、なかなか行こうとはせず症状が出たときに市販の薬を飲んでいるようです。アレルギー性鼻炎は1年中起こると聞きました。もしそうなら、早めに病院にいった方がいいのでしょうか。また完全に治す方法はあるのでしょうか。



【答え】 アレルギー性鼻炎 -市販薬で対応せず専門医へ-

かわぶち耳鼻咽喉科 川淵 崇(徳島市八万町)

 風邪でもないのにくしゃみや鼻水、鼻づまりに悩まされ、集中力が落ちて日々の仕事や勉強にも差し支える。そんな人の多くが病院へ行くと「アレルギー性鼻炎」と診断されます。 

 アレルギー性鼻炎は、年間を通じて起こる「通年性」と、一定の季節に限って起こる「季節性」の2種類に分けられます。通年性の主な原因はハウスダストですが、中でも多いのがダニ。それ以外では、猫や犬などのペットが知られています。季節性のほとんどはスギやヒノキなどの花粉が原因で花粉症と呼ばれています。スギ花粉症が有名なので、スギのみを花粉症と考える人もいますが、季節によって飛散の度合いが変わるさまざまな樹木や雑草が関係しています。

 通年性では、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などを合併することがあります。花粉症の場合は、目やのど、皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽい感じが現れることがあります。

 診断は、問診や鼻鏡などで検査します。問診によって、症状が始まった時期や季節との関連性、症状の種類と程度、過去の病歴や他のアレルギー性の病気(ぜんそく、アトピー性皮膚炎)の併発の有無、家族の病歴(特にアレルギー)などを把握。鼻鏡検査で鼻の内部を診察します。アレルギー性鼻炎がある場合は、鼻の中の粘膜が白っぽくはれあがり、透明に近い多量の鼻水をみることができまます。併せて、副鼻腔(びくう)炎や鼻ポリープなど他の病気があるかも観察します。

 アレルギー性鼻炎の患者の鼻水中には白血球の一種の好酸球が増加するので、その好酸球数を調べます。また、血液や皮膚反応などの検査によって、アレルギーを引き起こしている原因物質・アレルゲンを調べます。

 治療は、アレルゲンの除去と回避のほか、薬物、特異的免疫(減感作)、手術の各療法があります。

 薬物療法ではさまざまな内服薬、点鼻薬などがありますが、治療薬を選ぶためには「くしゃみ・鼻水型」「鼻づまり型」といった鼻炎のタイプを区別し、重症度を判定することが必要です。人それぞれ薬の効果が異なるので、医師と相談しながら治療を続ける必要があります。

 特異的免疫療法は、原因となるアレルゲンを少しずつ量を増やしながら注射していく方法です。アレルギーを治す可能性のある治療法ですが、ショックなどの副作用の可能性があり、また、2~3年の治療が必要となる場合もあります。

 手術療法では、レーザーでアレルギー反応を起こす鼻の中の粘膜を焼く方法があります。比較的容易な方法ですが、再発もみられます。このほか、鼻水を分泌する腺を刺激する神経を切断する方法もあります。

 息子さんは、鼻水が主な症状で風邪症状を伴っていないようなので、アレルギー性鼻炎の可能性が高いと考えられます。市販薬で対応しているようですが、アレルギー性鼻炎も無治療でいると、鼻にポリープができたり、副鼻腔炎を併発したりして、将来的に手術が必要になることもあります。まず専門医で受診されることをお勧めします。

徳島新聞2008年8月31日号より転載

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