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【質問】 就寝中に激しくせき込む

 もうすぐ2歳になる女の子の母親です。昼寝や夜の就寝中に激しくせき込み、自分の咳(せき)で何度も起きてしまうことがよくあります。起きている間は咳や鼻水といった症状はみられないのですが、気道が狭いなど何らかの病気なのでしょうか。生後半年のころ気管支炎になりましたが、関係があるのでしょうか。どのようにすれば症状を和らげてやれますか。



【答え】 子どもの咳 -症状によって異なる疾患-

ふじの小児科クリニック 藤野 佳世(小松島市坂野町)

 子どもの激しいせき込みは睡眠を妨げますし、見ている親もつらくなる症状の一つです。 

 咳は小児科の外来で一番よくみられる症状です。原因としては、風邪や肺炎といった呼吸器の感染症か、喘息(ぜんそく)や花粉症、咳喘息などのアレルギーが最も多いですが、たばこや化学物質などによる気道、咽頭(いんとう)の刺激症状としてみられることもあります。また、まれに圧迫や気道異物による場合もあります。

 痰(たん)が絡む咳や空咳、発作性の咳など咳の種類、発熱やヒューヒューゼーゼーといった呼吸音がする喘鳴(ぜんめい)など随伴症状の有無、いつごろから続いているかによって、考えられる疾患は異なります。相談の内容から、夜間や睡眠中に多い発作性の咳と考えられますので、その場合について回答します。

 夜間の激しい咳として、百日咳、オットセイの鳴き声のような咳が出る喉頭炎、鼻水が喉の奥に流れる後鼻漏(こうびろう)に伴う咳、喘息などがあります。感染症による場合は、日中も咳や鼻水、発熱といった症状を伴うことが多く、起きているときに症状がまったくなければ、感染症よりも喘息など気道が過敏になった状態が考えられると思います。その場合、気道の収縮によるヒューヒューという音が聴診で聴かれることが多いです。

 ただ、喘息はアレルギー体質だけではなく、気道感染症とも密接な関係があります。呼吸器感染症を起こすウイルスは何百種類もありますが、その中で、RSウイルスなど何種類かのウイルスは気管支炎、細気管支炎などの後に喘息のような症状を引き起こすことがあります。相談のお子さんも、乳児期に起こした気管支炎の影響があったかもしれません。

 激しい咳が続く場合は、昼間は元気そうでも一度小児科医を受診する必要があります。睡眠中と日中受診したときでは状態が異なると思いますので、せき込み時に喘鳴や痰を伴っているかどうか、息苦しそうかどうかなどを十分観察し、医師に伝えてください。治療法は病状によって異なりますが、内服薬、吸入療法などがあります。

 家庭での対応ですが、横に寝て、苦しいときは上体を起こして抱っこをしてください。また、もたれた姿勢が楽な場合があります。冬など乾燥する季節は、湿度を上げる工夫も役に立ちます。

 後鼻漏によるものは、寝る前に鼻水を吸引することで楽になります。また、痰が絡むときは水分を取って痰を切りやすくしてください。対応も病状によって異なりますので、小児科医で相談するとよいと思います。

徳島新聞2008年6月29日号より転載

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