徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 尿排出が遅く、勢いもない

 43歳の男性です。ここ数年、排尿時に尿の勢いがなく、少しずつ流れ出るような状態です。時には数秒間たってから尿が出るし、力を入れても自覚がなく尿が排出される感じです。このような症状に効果のある薬は薬局に置いてあるのでしょうか? 一度病院にと考えていますが、よいアドバイスがあったら教えてください。



【答え】 排尿障害 -多岐にわたる原因疾患-

川島病院 副院長 炭谷 晴雄(徳島市北佐古一番町)

 排尿障害をきたす疾患は多岐にわたります。まず膀胱(ぼうこう)の働きですが、次の二つに集約されます。

 一つは蓄尿機能です。腎臓で作られた尿が膀胱に運ばれると、膀胱の筋肉が緩んで尿をため始めます。180ミリリットルほどたまると尿意を感じますが、内尿道口(膀胱の出口)が閉まって250-300ミリリットルぐらいまで我慢できます。この尿をためる能力に異常をきたした状態が蓄尿障害です。

 もう一つは、排尿機能です。尿が膀胱に十分たまると排尿したくなります。膀胱の筋肉が収縮すると同時に内尿道口が開き、この二つの作用で尿が体外に排出されます。正常な男性では1秒間に25-35ミリリットルの勢いで排出されますが、このとき膀胱の収縮と内尿道口に異常が発生するのが排尿障害です。蓄尿と排尿はいずれも脳と脊髄(せきずい)、膀胱の神経によってコントロールされています。

 次に、蓄尿障害と排尿障害を引き起こす病気について説明します。

 蓄尿障害の原因となるのは▽脳血管障害(脳卒中)や脊髄(せきずい)損傷による神経障害▽子宮がんや直腸がんなど膀胱付近の手術による神経障害▽かぜ薬、抗うつ剤、向精神薬、パーキンソン治療薬などの薬物▽糖尿病による神経障害-などさまざまです。膀胱の筋肉を緩ませ、内尿道口を閉める作用がうまくいかなくなって発生します。

 蓄尿障害の具体的な症状には、頻尿と夜間頻尿があります。正常では1日5~6回の排尿が普通ですが、トイレに1日に10回も15回も行ったり、睡眠中に何回も行ったりするのが特徴です。また尿意を感じると待ったなしの尿意切迫、尿を漏らしてしまう尿失禁のいずれも膀胱や尿道が過敏となって起こります。ある統計では、日本人の40歳以上の男女の12%(810万人)にこれらの症状がみられます。

 一方、膀胱にたまった尿を意思通りに排尿できない状態を排尿障害といいます。排尿障害と蓄尿障害は別々に存在するのではなく、互いに影響しあっています。

 排尿障害の原因となるのは▽蓄尿障害の説明で述べた神経障害によるもの▽高齢者でみられる前立腺(せん)疾患▽膀胱結石▽尿道狭窄(きょうさく)などによる閉塞(へいそく)-などがあります。具体的な症状としては、尿がチョロチョロしか出ない尿流の低下、排尿中何度も尿が止まる尿線中断、排尿開始に時間がかかる排尿開始遅延、力を入れなければ尿が出ない排尿時の力み、排尿が終了してもポタポタ落ちる終末時滴下が主なものです。

 質問の人は、43歳と年齢が若いため、高齢者に多い前立腺疾患は考えにくいと思います。脳卒中や手術の経験、排尿障害を起こす薬剤の服用や、糖尿病の有無など詳細は分かりませんが、経過が長いことから何らかの原因による神経障害、尿道狭窄や結石などによる閉塞で膀胱内に残尿が発生し、排尿が少しずつ流れ出る状態になっていると考えられます。

 薬局の薬もいいものがありますが、症状が強いことから、一度泌尿器科への受診を勧めます。比較的簡単な検査で診断でき、排尿状態の改善につながると思います。

徳島新聞2007年11月11日号より転載

  • 感染症について
  • 研修医募集のお知らせ
  • 広報出版物
  • 東日本大震災に関する情報
  • 徳島県医師会は混合診療解禁に反対です
  • 徳島県医師会公益通報窓口について
  • 健康事業所宣言をし、認定を受けました。
© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.