徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 ふけが出やすく悩む

 45歳の男性です。ふけが出やすくて悩んでいます。仕事の関係で帰宅が遅くなることもよくありますが、風呂では頭皮をしっかりと洗っているつもりです。寒い時期は空気が乾燥しているせいか、急にひどくなってきました。シャンプーを変えてみたのですが、あまり効果はありません。人に見られているような気がして恥ずかしいです。ふけが治まる薬はあるのでしょうか。



【答え】 脂漏性皮膚炎 -抗真菌シャンプーが有効-

さかお皮フ科クリニック 坂尾 佳久(徳島市国府町井戸)

 ふけが多いときは、ふけを伴う皮膚の病気が頭皮に起きている可能性があります。その一つが、脂漏(しろう)性皮膚炎です。ふけ症は脂漏性皮膚炎の初期症状、あるいは軽症と考えられています。脂漏性皮膚炎を中心に、ふけの原因、治療、日常生活での対処法について説明します。

 ふけは頭皮の老化した角質細胞がはがれ落ちるもので、生理的なものです。何らかの原因ではがれ落ちる量が増えると、ふけが目立つようになり、一般にふけ症と呼ばれます。

 ふけは湿性と乾性の2つのタイプに分かれます。前者は脂っぽく湿り気のあるふけで、皮脂の分泌の多い人に見られます。後者はパラパラと落ちる乾燥したふけで、洗髪のし過ぎなどで皮脂が不足し、頭皮が乾燥するために起こります。

 脂漏性皮膚炎は、乳児に見られるものと成人に見られるものとに大別されます。数カ月で自然に治ることが多い乳児例に比べ、成人例は再発を繰り返し、治るまでに時間がかかることもあります。皮脂分泌の多い部位に発症するので、頭皮や顔のほか、わきの下、胸などに見られます。頭皮の症状としては▽ふけが多い▽頭皮が赤くなる▽かゆい-などが挙げられます。

 このように、ふけ症は頭皮に生じた脂漏性皮膚炎の初期症状の場合があります。原因については、内因性として遺伝的な素因や内分泌的な影響、皮脂腺の分泌異常、ストレスなどが挙げられます。外因性としては気候や栄養、スキンケア、薬剤の影響などが考えられます。さらに、微生物の影響として重要視されているのが、マラセチアという真菌です。

 脂漏性皮膚炎は、これらの要因が複合的に作用して発症すると考えられています。マラセチアは、皮膚の常在菌の一種で、皮脂の多い部位に増殖します。マラセチアが皮脂を分解し、分解された皮脂によって、炎症が起こると考えられています。

 次に、治療について述べます。まず、低刺激性のシャンプーや殺菌成分を配合したシャンプー、また、市販の抗真菌剤入りのシャンプーを使用します。これらのシャンプーで症状が改善しない場合、薬物療法が行われます。

 最近は、主にマラセチアに効果のある外用の抗真菌薬が使われるようになっています。また、赤みやかゆみが強いときには、外用のステロイド薬が併用されることもあります。

 ふけが多い場合は、日常生活で次のようなことに気をつけましょう。最近は洗い過ぎによる乾燥したふけに悩む人が多く、この場合は洗髪回数は多くても1日1回にとどめます。脂っぽいふけの場合は、1日1回はしっかり洗います。

 また、過労やストレス、睡眠不足を避け、規則正しい生活を心掛けます。脂肪分や糖分の取り過ぎ、ビタミン類の不足がないよう、バランスの取れた食事をすることも大切です。

 ふけがひどい場合は、脂漏性皮膚炎のほかにアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬(かんせん)、白癬(はくせん)などの疾患が原因であることもあるので、一度、専門の医師に相談することをお勧めします。

徳島新聞2007年3月18日号より転載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.