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【質問】 尿の出が悪く、残尿感ある

 40歳の男性です。最近、尿の出が悪く、困っています。水分はあまり取らないようにしているのですが、少しずつ排出して、しばらくするとまたトイレに行きたくなります。営業で外回りをしているときはいいのですが、内勤日に会社で何度もトイレに行くのが嫌で心配です。残尿感や気持ち悪さがあります。市販の薬でも大丈夫でしょうか。診察を受けた方がよいのならば、何科を受診すればよいのでしょうか。



【答え】 蓄尿期の障害 -原因で治療法に差、市販薬には注意-

徳島市民病院 泌尿器科主任医長 村上 佳秀

 排尿は腎臓からの尿を膀胱(ぼうこう)へためる”蓄尿期“と、膀胱から尿道を通じて体外へ尿を出す”排出期“からなっています。どちらの障害でも、相談者のような症状を生じることがあります。この方の場合、水分摂取を控えられ、少しずつ尿をして排出していることや年齢から考えますと、蓄尿期に問題がある可能性を考えます。

 通常、蓄尿期の膀胱は、心身ともに十分にリラックスしていれば200-400ミリリットル程度の尿をためることができます。しかし、何らかの原因で膀胱に緊張、または不安定な状態があると十分に尿をためることができず、尿が少しの量だけたまるとすぐに尿意を感じてトイレに行ってしまうことを繰り返す状態(頻尿)となります。

 1回の排尿量は少なく、実際には膀胱には残尿はないにもかかわらず、排尿後に残尿感や不快感を感じてしまいます。

 また、1回の排尿量が少ないと、水力学的にも尿は勢いよく排出できませんので「尿の出が悪い(尿の勢いが悪い)」と感じます。最近では頻尿に加え、尿意切迫感(急に起こる抑えられないような強い尿意で、我慢するのがとてもつらい症状)を伴えば「過活動膀胱」という症候群に定義されることもあります。

 排尿の蓄尿期の障害の原因はさまざまで、尿道狭窄(きょうさく)や前立腺疾患もその原因となり得ます。慢性前立腺炎はよく似た症状を呈しますが、会陰(えいん)部や下腹部、陰嚢(いんのう)部などに鈍痛や不快感を伴うことが多いです。ほかには、膀胱での炎症や結石の存在、膀胱にかかわる自律神経の不調や膀胱の上位中枢である脳・脊髄(せきずい)の疾患が挙げられます。

 また、まれですが膀胱やその周辺に悪性腫瘍(しゅよう)が生じても同様の症状を引き起こす場合があります。その他、排尿に影響を及ぼすものとしては、気温などの環境の変化にともなう生理的なもの、ストレスや心因的な原因、そして、カフェインや神経に作用する薬物などもあります。また、実際のところ、日ごろの診療では原因がはっきりしない場合も頻度としてはかなり多く経験します。

 排尿の症状のみから病態を正確に判断するのは大変難しく、全く同様の症状でも実際には排尿の排出期にも障害があり、残尿が原因となっていることもあります。

 この場合は治療法が違ってきます。また排尿の蓄尿期の障害の原因と考えられる疾患も前述したように多岐にわたりますので、ぜひ一度、泌尿器科を受診されることをお勧めします。

 泌尿器科での検査は、検尿をはじめ超音波検査で膀胱や前立腺の形態の観察や残尿測定をします。原因となる疾病が明らかであれば、それに対する治療を中心に考えます。膀胱の緊張、不安定な状態に対しては主として膀胱を安定させ、その容量を増やす作用のある薬物療法を行います。また、膀胱容量を増加させる目的で、排尿を我慢する訓練などの行動療法も有効です。

 市販の薬で頻尿や残尿感に対しての効果をうたっている物の多くは漢方薬で、症状の緩和に効果的な物もあると思われます。しかし、それらの中には残尿に起因した頻尿の場合、逆に残尿を増やしたり、尿閉といって完全に尿の排出が止まってしまう副作用が生じる可能性がある物もあり、注意が必要です。また、薬の服用で症状が一時的に改善しても万が一、悪性の疾患が原因であった場合に正確な診断・治療を遅らせる可能性もあります。

徳島新聞2006年8月27日号より転載

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