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【質問】 頭痛・もの忘れ…脳ドック受診

 40代の女性です。若いころから季節の変わり目ごとに頭痛や疲れやすいなどの症状がありました。最近は、もの忘れや集中力の低下なども加わり、思い切って脳ドックを受診しました。MRI(磁気共鳴画像)検査で「無症候性脳梗塞(こうそく)」と分かりましたが、「高血圧でない。麻痺(まひ)などの症状もない」とのことで、定期的にMRI検査を受けながら様子を見るということになりました。「無症候性脳梗塞」とは、どんな病気で、日常生活では、どんなことに気をつければいいでしょうか。頭痛があれば、市販薬を飲んでも差し支えはないでしょうか。また将来、本格的な脳卒中になる可能性が高くないのかどうか、心配です。



【答え】 無症候性脳梗塞 -頭痛・もの忘れ…脳ドック受診-

徳島県立中央病院 脳神経外科部長 本藤 秀樹

 脳ドックを受診し、MRI検査で「無症候性脳梗塞」と指摘されたそうですね。どんな病気なのか、そして日常生活での注意点、将来の脳卒中の可能性などについて質問ですが、それぞれの項目について答えます。

【無症候性脳梗塞】

 最近、CTやMRIなどの画像診断の普及により、症状の伴わない小さな脳梗塞(ラクナ梗塞)が発見される機会が増えてきています。今まで脳卒中の既往がなく、CTやMRIで偶然発見される無症状の脳梗塞を「無症候性脳梗塞」と呼んでいます。

 無症候性脳梗塞は加齢とともに増加します。脳ドックを受診した健常成人(平均60歳)における頻度は全体で16.6%ですが、60代から急増し、70代以降では35%と報告されています。高血圧症や糖尿病を合併している場合は頻度がもっと高くなります。

【無症候性脳梗塞の危険因子】

 無症候性脳梗塞を起こしやすい危険因子があります。加齢と高血圧は重大な危険因子です。そのほかに糖尿病、高脂血症、喫煙、虚血性心疾患、心房細動、頸(けい)動脈狭窄(きょうさく)病変、血液の凝固亢進(こうしん)状態などがあります。

 日常生活での注意点ですが、高血圧にならないように食事、適度な運動、ストレスなどに気をつけてください。もし、糖尿病や高脂血症があれば、かかりつけ医で治療してください。

 また、喫煙しているのなら、ぜひ禁煙してください。さらに、暑い時期に屋外で仕事やスポーツをするときは、十分水分を取って脱水状態にならないように気を配ってください。

【無症候性脳梗塞からの脳卒中の発症】

 島根大学の小林祥泰教授の研究では、脳ドック受診者1522人(平均年齢60歳)を最長10年間にわたって追跡したところ、無症候性脳梗塞のある人では脳卒中の年間発症率は約3%で、ない人の年間発症率0.3%に比べて10倍も高いと報告されています。

 また、高血圧症を持つ人だけで比較すると、無症候性脳梗塞のある人は、ない人に比べて2.2倍脳卒中を起こしやすいと報告されています。ただ無症候性脳梗塞の大きさや場所、個数、頭蓋(ずがい)内血管の閉塞や狭窄の有無によっても発症率は違ってくると思われます。

【無症候性脳梗塞の治療】

 症状のある脳梗塞では血小板の凝集能を下げて、詰まりにくくする抗血小板剤(アスピリン、チクロピジン、シロスタゾール)が脳梗塞の再発を予防することが証明されています。しかし、無症候性脳梗塞に関しては、抗血小板剤の有効性は確立されていません。安易に使用すると、脳出血の危険性も指摘されています。

 そこで再発予防のためには、危険因子の管理、特に高血圧のコントロールが重要です。脳ドックでMRA検査(MR血管撮影)も受けられたと推察しますが、異常がなければ定期的にMRI検査を受けることでいいと思います。もし、脳主幹動脈や頸部内頸動脈に狭窄や閉塞を認めたり、血小板凝集能が著しく亢進している場合は抗血小板剤の服用を勧めます。

 最後に「頭痛があれば、市販薬を飲んでも差し支えがないか」との質問ですが、一般的にはアスピリンなどの服用を勧めます。しかし、くも膜下出血や脳卒中に伴う頭痛もあるので、いつもと違う激しい頭痛がある場合は至急専門医を受診してください。

徳島新聞2005年9月4日号より転載

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