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【質問】 心配なアレルギー軽減薬の服用

 子どものころからアレルギー体質で、高校2年生のときにアトピー性皮膚炎になって、クリニックで処方してもらった塗り薬を使用しています。昨年11月にじんましんができ、内科で30品目の検査をしてもらいましたが「異常なし」との結果でした。アレルギー症状を軽減させる飲み薬を飲んでいましたが治まらず、皮膚科を受診したところ「温度差ではないか」と同じ薬を処方されました。以前は1日おきに薬を飲んだら治まっていましたが、最近では毎日飲まないとじんましんが出ます。このまま薬を続けていいのか心配です。



【答え】 慢性じんましん -長期の内服治療が必要-

宇都宮皮膚科泌尿器科 副院長 宇都宮 正裕(徳島市吉野本町1丁目)

 じんましんとは、一過性の皮膚の浮腫のことをいいます。突然かゆみとともに、蚊に刺されたような腫れができ、かいているうちにみるみる広がり地図のようになります。しかし数時間のうちに消えます。それが、1回で治まる場合もありますが、何回も繰り返す場合もあります。ちなみに同じ所に何日も消えずにある発疹(ほっしん)は、じんましんとはいいません。

 じんましんといえば、青魚を食べたりした後に出る食物によるじんましんをまず思い浮かべる方も多いと思いますが、そのほかにもいろいろな原因で出ます。扁桃腺(へんとうせん)炎や腹痛などの感染症がきっかけでおこる感染性じんましん、冬寒い風などに当たると出る寒冷じんましん、緊張や運動で汗をかいたときに出るコリン性じんましん(痛がゆい小さな発疹)、かいたり、下着などで圧迫すると出る人工(機械性)じんましん(筆者も長年悩まされています)などがありますが、ほかにも薬や日光、また精神的なストレスが原因で出ることもあります。しかし、実際に一番多いのは、原因を見つけだすことが困難な慢性のじんましんです。

 じんましんでは、ある原因物質(抗原)に対して血液中のIgEという抗体が多くでき、この抗体が皮膚の血管の近くにある肥満細胞という細胞にくっついて、その細胞からかゆみを起こす物質(ヒスタミン)が出て、じんましんを起こします。血液検査で、このいろいろな物質のIgEの値を調べることによって、原因の推定がある程度可能です。

 しかし、質問にあるように、いろいろな物質のIgEを調べても陰性の場合も多く、また逆にある物質のIgEの数値が高くても、因果関係がはっきりしない場合も多々あります。これは抗原の数が無数にあることも一つの原因です。

 このように原因が不明の場合、じんましんの治療は、かゆみを起こすヒスタミンをブロックする抗ヒスタミン剤(H1ブロッカー)や抗アレルギー剤の飲み薬が主体となります。これらの薬の副作用としては、人によっては眠気などがありますが、他の副作用はあまりなく、長期間服用しても安全です。胃炎の薬(H2ブロッカー)の併用が有効な例もあります。

 これらの薬は、じんましんが出たときだけ服用するのではなく、出てなくても2~4週間ぐらい続けて服用し、出ないようなら少しずつ減量していきますが、減量して出るようならしばらく毎日続ける必要があります。またこれらの薬が効かないときや症状の激しいときに、副腎皮質ホルモン(内服)も効果がありますが、長期間服用すると副作用も出てきますので専門医の指示に従ってください。

 じんましん、特に慢性じんましんは治りにくく厄介な病気ですが、決して治らない病気ではありません。専門医を受診し、適切な治療を根気よく続けることによって、多くの場合、徐々に軽快していきます。

徳島新聞2005年5月22日号より転載

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