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【質問】 首を動かすと音がする

 48歳の女性です。4年ほど前に農作業車に突き飛ばされ、右膝(ひざ)をねじってしまい、半月板を割る大けがを負いました。その際、首も痛めたらしく、1年ほど前から首を後ろに引くと砂がすり合わさったような「ズリ、ズリ」という音がします。もちろん、膝もずれたり、戻ったりしながら痛みます。首も、クッションの悪い車に乗っているとすごく痛みます。将来どうなるのか不安です。



【答え】 半月板損傷・頚部ねんざ -頚椎の異常確かめ治療を-

新野医院 新野 徳(板野郡板野町)

 質問には2つの問題があります。1つは、膝の半月板損傷による痛み、もう1つは頚椎(けいつい)の運動に伴う雑音です。いずれも、質問にあるように転倒などのひどい外傷によって、同時に発生したものと考えられます。

 まず膝の問題から説明します。人体関節のうちで最大の膝関節の中には、大腿骨(だいたいこつ)とケイ骨(すねの骨)の間に<図1>のような「半月」の形をした軟骨が内側と外側にあります。膝の屈伸に伴って前後にずれて動き、荷重による衝撃を和らげるクッションのような働きをしています。これが半月板で、関節面の適合性を確保したり、膝の曲がりに対して滑りを良くしたりする役割もあります。

 この半月板は、膝関節のねんざや異常な外力によって、いろいろな断裂を起こします。膝で最も多い疾患が半月板損傷なのです。

 大きく断裂すると、膝を屈伸するときに音がしたり痛んだり、さらには跳ね返る現象が起きたりします。このときは手術によって損傷した半月板を切除すれば症状はなくなります。半月板は大きく損傷するとそのままでは治らないので、半月板を切除していないのであれば、手術すれば問題は解決するでしょう。


 次に頚椎の問題について述べます。頚椎には7つの椎骨があり、<図2>のように椎間板と椎間関節で結ばれています。正常では軽く前弯(ぜんわん)(前方凸)になっています。しかし、転倒などで頚部を強くねんざすると、頚椎の配列が異常となり、椎間関節の配列も変化してしまいます。

 頚椎の運動は複雑で屈曲、伸展、側屈、回旋(かいせん)などがあります。頚椎の配列が異常になると、こうした運動のときに椎間関節間で「コツ、コツ」などの異常な音が発生します。無理に頚部を曲げて音が発生したりすると、痛みの原因になることがあるので注意してください。

 質問の女性は「将来どうなるのか不安です」と訴えているので、一度整形外科を受診することを勧めます。頚椎のレントゲン検査やMRI検査を受け、専門医とよく相談してください。

 その結果、頚椎の配列異常などの変化があれば、それに応じた治療によって症状は軽くなると思います。治療には内服、注射、理学療法、湿布などを組み合わせて行います。

徳島新聞2005年3月27日号より転載

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