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【質問】 顔に小さないぼができる

 67歳の主婦です。60歳ごろから顔に小さないぼのようなものができるようになりました。特に眼鏡が当たる鼻の両側が多く、いつの間にか少なくなったり、出てきたりします。また、それと良く似た少し大きめのいぼのようなものが、口内にもできます。上の歯と下の歯の間の歯茎の左の方だけに突然でき、またいつの間にかなくなります。ただ、顔も口内も全然痛くありません。口内については耳鼻咽喉科で診てもらいましたが、何か分からず、3カ月後の再受診を言われました。「悪いものではない」とのことでしたが心配です。ほっておいて大丈夫なんでしょうか。



【答え】 糸状疣贅 -感染しやすく治療必要-

徳島市民病院 皮膚科 内田 尚之
     
 まず、鼻の周囲にできるいぼのようなものについて答えます。質問からは大きさや表面の色、形、堅さなどが不明なので、はっきりと診断できませんが<1>疣贅(いわゆるいぼ)<2>老人性疣贅<3>軟性線維腫<4>日光角化症-などが考えられます。

 それぞれの病気について簡単に述べます。<1>のいぼは子供の手や足によくできますが、大人にもできることがあります。大人の顔にできるいぼとしては糸状疣贅と若年性扁平疣贅があります。いずれもヒト乳頭腫ウイルスが感染して発症します。

 糸状疣贅は先端が堅くなった突起が数本出ていて、大きさは米粒ぐらいです。先端の堅い部分が取れたり、基部が切れたりすると治ったように見えますが、再び大きくなります。質問のいぼに最も一致する病気と思われます。糸状疣贅は感染しやすいので治療が必要です。

 若年性扁平疣贅は若い人の顔や腕に見られるいぼです。大きさは5~6ミリで、褐色で丸く、わずかに盛り上がっています。質問の女性は年齢や大きさから考えて、このタイプのいぼではないと思います。

 <2>の老人性疣贅は40代以降に始発する皮膚の良性腫瘍です。顔を含め、ほぼ全身にできます。色は皮膚の色と同じ程度から、淡い褐色から黒色のものまでさまざまです。大きさも1~2ミリから1~2センチとかなり幅があります。あまり盛り上がらないタイプから、表面がザラザラしていぼ状に盛り上がったもの、5~6ミリ突出したものとさまざまです。このうち、いぼ状に盛り上がったタイプは表面のザラザラが取れると治ったように見えますが、しばらくすると元に戻ります。

 軟性線維腫は首の周りや脇の下にできるブツブツ(小さな突起)で、30代以降にできます。色は皮膚と同じ色か、褐色から黒色です。大きさは2~3ミリで、柔らかくブツブツしています。首の周りや脇の下では数十個にもなりますが、顔では数個程度です。

 老人性疣贅と軟性線維腫は良性の腫瘍なので、治療しなくても大丈夫ですが、凍結療法で簡単に取り除くことができます。

 <4>の日光角化症は中高年の顔や腕にできて将来、皮膚癌(がん)になる可能性のある前癌病変です。表面に堅いかさぶたが付いたり、いぼ状に堅くなったりします。多くはできませんが、数個できることがあります。前癌状態と考えられているので、皮膚を少し切り取る組織検査をした方がいいでしょう。

 次に、歯茎にできるいぼのようなものについてですが、刺激性の線維腫や粘液嚢腫(のうしゅ)、あるいは再発性アフタなどが考えられます。線維腫はいぼ状に隆起していて、義歯などの刺激を除けば消失します。粘液嚢腫は歯茎にできることはまれですが、消える場合もあります。再発性アフタはいぼ状には隆起せず、1~2週間で消えます。また、ベーチェット病という難病の最初に現れる症状でもあります。

 これら以外の病気の可能性もあるので、一度皮膚科の専門医を受診されてはどうでしょうか。

徳島新聞2005年3月20日号より転載

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