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【質問】 両目に黒い物体が見える

 65歳の女性です。両目に黒い物体が飛んでいるように見えるので、眼科医で診察を受けると「サルコイドーシスからきているのではないか」との診断でした。サルコイドーシスとはどんな病気ですか。どんなことが原因でかかるのでしょうか。どのような治療を受けたらいいのでしょうか。一生、治らない病気なのでしょうか。



【答え】 目のサルコイドーシス -全身的疾患、ステロイドで治療-

健康保険鳴門病院 眼科 大村 和正

 眼科を受診してサルコイドーシスと言われたのですね。聞き慣れない病気で、さぞ心配なことと思います。目だけの病気ではないので、まずどういう病気か話しましょう。

 サルコイドーシス(sarcoidosis)というのは、ラテン語で“肉のようなもの”という意味です。体のいろいろな場所に、類上皮細胞肉芽腫(るいじょうひさいぼうにくげしゅ)という肉のかたまりができる病気です。頻度は日本人では、約10万人に1.8人ほどの割合です。しかし、がんとは全く違い、悪性疾患ではありませんので、安心してください。

 大きさは目に見えるくらいのものから、顕微鏡で見なければ分からないほど小さいものまであります。

 出てくる場所として一番多いのは、肺の付け根の肺門リンパ節(約90%)というところです。そのほか、目(約50%)、皮膚、心臓、脳・神経、表在リンパ節、唾液腺(だえきせん)、筋肉、骨など、全身のあらゆる臓器に発生します。ただ、すべての臓器に、同時に出てくるわけではなく、ある人は目だけに、ある人は目と肺、ある人は皮膚だけにと、患者さんによって異なり、症状も違ってきます。

 肺門のリンパ節に肉芽腫ができても、ほとんど症状はなく、健康診断で偶然、見つかる場合もあるほどです。肺炎などの病気と違って、あまり症状が出ないのが特徴です。

 目の場合は、ほとんど肉芽性の炎症によるぶどう膜炎と網脈絡膜炎(もうみゃくらくまくえん)です。ぶどう膜とは、虹彩(黒目の中の茶色の部分)と毛様体(虹彩の裏の周り)、さらに眼底に続く脈絡膜という3つの組織の総称です。ここに生じた炎症を、ぶどう膜炎、ないし網脈絡膜炎といいます。この炎症の程度に応じて、目の中の水が濁ってきます。この濁りの影が映るため、視野の中にほこりや虫のようなものが飛んで見えるようになります(飛蚊症(ひぶんしょう))。

 両目に黒いものが飛んでいたというのは、このことです。さらに混濁の程度が強くなると、目がかすみ、視力が低下します。このぶどう膜炎は、慢性で、適切な治療をしても完治しない人が多く、長期にわたって炎症が続くことも珍しくありません。

 治療は、主にステロイドというホルモン剤を点眼、または内服します。薬を減らしたり中止したりすると、すぐ炎症が再燃し、ぶどう膜に次々に新しい肉芽腫が出現して、網膜が障害を受け、永久的な視力障害が残る場合もあります。また、このぶどう膜炎が原因で、緑内障、白内障などの合併症が生じ、失明に至る場合もあります。たとえ炎症が軽微で、症状がなくても、緑内障を起こし、知らぬ間に視野が欠損します。症状がなくても、定期的な眼科医の診察が必要で、2~3カ月に1回は受診するようにしましょう。

 緑内障も白内障も進行すれば手術が必要となります。また、心臓のサルコイドーシスの場合、心臓まひを起こして死亡することもあります。

 原因は、ある種の菌による感染、ダニ咬症(こうしょう)、ストレスなどといわれていますが、確証はなく、現在は原因不明です。いずれにせよ、全身的な病気ですので、眼科および内科の医師の診察を受け、十分治療してください。

徳島新聞2004年3月14日号より転載

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