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【質問】 インフルエンザの感染心配

 40代の主婦です。昨年、流行していたインフルエンザについて教えてください。家族が大勢いるのですが、一人がインフルエンザにかかったら、みんなにうつってしまうのではないかと心配しています。今年は、18歳の息子が受験を控えていて、予防接種を受けさせようかと思うのですが、今の時期に受けていいのでしょうか。高齢のおばあちゃんにも受けさせてもいいでしょうか。何回か接種しなければいけないように聞いたのですが、期間はどのくらい空ければいいでしょうか。また、金額なども教えてもらえないでしょうか。



【答え】 インフルエンザ -受験生・高齢者は予防接種を-

たけひさ医院 院長 武久 一郎(徳島市城東町2丁目)

 指摘のように昨シーズン(今年の2月から3月)に、インフルエンザがかなり流行しました。抗ウイルス薬が不足して問題となったことも印象的でした。 

 インフルエンザは、一般にいわゆる「風邪」とは違い、インフルエンザウイルスの感染によって発病する病気です。普通の風邪は、ライノウイルスとかコロナウイルスの感染によって起こり、症状としては、のどが痛む、鼻がむずむずする、くしゃみや、せきが出る-などが中心で、全身症状はあまり見られません。インフルエンザの場合は、風邪よりも症状が激しく、咽頭(いんとう)痛、筋肉痛、関節痛、せき、痰(たん)、発熱(かなり高い)などの症状が3-4日続きます。また、感染力も強い特徴があります。かかってから48時間以内に抗ウイルス剤を服用すれば症状を和らげることができますが、インフルエンザにかからないことが望ましいでしょう。

 インフルエンザの予防接種は、毎年、次の流行に合わせ、インフルエンザA、Bウイルスに対して調整されており、100%予防するとまではいえませんが、もしかかった場合でも、比較的軽く経過するといわれています。受験を控えている子どもは、ぜひ予防接種を受けるようにしてください。

 特に今年は、中国、東南アジアで、この春流行した新型肺炎(SARS)が再び流行することが予測されており、このSARSの症状がインフルエンザとよく似ていることもあって、国はインフルエンザの予防接種を強く勧めています。予防接種は11月から始まっており、できれば12月中旬までに受けてください。

 インフルエンザの予防接種は、13歳未満の場合、1-4週間の間隔をおいて2回、13歳以上は1回接種することが基本となっていますが、インフルエンザにかかったことのない人や、予防接種を受けたことがない人は、2回接種した方がよいといわれています。

 インフルエンザは、徳島県の場合、大阪などで流行してから少し遅れて流行することが多く、大体2月が流行のピークですが、予防接種を受けてから十分な抗体ができるまでに、多少の日にちがかかるので、12月中旬までの接種を勧めます。また、高齢者もできるだけ予防接種を受ける方がいいかと思います。なぜなら、高齢者がインフルエンザにかかると、より症状が重くなり、肺炎などの合併症も起こりやすくなり、生命の危険が増すからです。

 インフルエンザの予防接種は任意接種といって、三種混合ワクチンなどのような強制接種ではなく、保険適用がないために、原則的に全額負担となります。従って、医療機関によって多少異なる料金設定が行われていますので、詳しくはかかりつけの先生に尋ねてください。また、65歳以上の高齢者、60-64歳までの人で、心臓、腎臓、呼吸器に障害があり、生活を極度に制限される人らには、市町村の補助制度が設けられています。この場合も市町村によって補助金額が異なっているので、居住地の市役所、または役場に問い合わせてみてください。

徳島新聞2003年11月30日号より転載

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