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【質問】 突然 右耳が聞こえなくなった

 49歳の男性です。今年7月の終わりに、朝起きてすぐに右耳が全く聞こえないことに気付き、近所の耳鼻咽喉科に行くと、突発性難聴と診断されました。点滴を5日間受けましたが、聴力は戻らず、耳鳴り、頭痛もするため、頭部MRI・MRAも調べました。特に異常もなく、ビタミンB12のみ服用し、1カ月過ぎましたが、耳鳴りも治らず、全く聞こえません。今後の薬の服用や治療によって、耳鳴りが止まり、聞こえるようになるということはありますか。普通に聞こえる左耳のこれからのケアの仕方などを教えてください。



【答え】 突発性難聴 -発症2週間以内には治療受けて-

西條耳鼻咽喉科 西條 秀明(板野郡藍住町東中富)

 突発性難聴とは、あるとき突然に起こる原因不明の感音難聴(蝸牛(かぎゅう)および蝸牛神経に障害が起きる難聴)のことをいいます。難聴と同時に、耳鳴り、目まいを伴うこともあります。年間発生数はおよそ27,000人とされ近年、増加傾向にあります。

 原因不明であるが故に、詳細な問診と綿密な検査の上で、治療方針を立てます。純音聴力検査で聞こえのレベルを周波数ごとに測定するとともに、他の疾患と区別するために、内耳機能、CT、MRI、血液の各検査を行います。聴力検査の結果から、軽症の順に<1>低音障害型<2>水平型<3>高音障害型<4>聾(ろう)型-などに分類されます。

 治療については、その開始時期が重要な要因となります。発症2週間以内が望ましいとされていますが、早いに越したことはありません。今までの報告では、2週間を境に、その前後で、治癒や回復に大きな差が出ています。

 治療方法は、ステロイド剤、循環改善剤、代謝賦活(ふかつ)剤、ビタミン剤などを多剤併用するのが一般的です。高度難聴では、点滴治療をしますが、糖尿病や胃潰瘍(いかいよう)を悪化させたり、出血傾向をきたすことがあるため、全身管理に注意を払う必要があります。


 治療期間は、およそ2週間を目安にします。効果があれば、2-3日で聴力に改善の傾向が表れてきますが、発症1カ月もすれば、聴力は固定してしまうので、以後の治療は多くを期待できません。

 朝目覚めて、ふといつもと違う感覚に気付いたときの驚きと不安は、計り知れないものだったでしょう。しかし、すぐに耳鼻科を受診したために、そのときの治療は、いたって適切な処置内容であったと考えます。

 さて、質問の今後の聞こえ方についてですが、既に2カ月以上を経過している点、点滴治療で全く改善がみられなかったことなどから、残念ですが、治癒の可能性は少ないと思われます。

 耳鳴りについては、突発性難聴で聴力固定後のアンケートによると、約6割の人に耳鳴りが残りましたが、治療を続けていくうちに、そのほとんどが気にならなくなったと答えています。<1>苦痛に感じる<2>仕事に何らかの不都合を生じる<3>眠りが浅い-など、日常生活に差し障るようなら、効果のある薬もあるので、主治医と相談してみてはどうでしょうか。

 また、ある種の雑音を出すマスカー装置や補聴器が、耳鳴りの軽減に効果があるといわれています。ただ、使用は耳鼻科医の診察を受けた上で行ってください。

 健康な耳が、再度、突発性難聴になる可能性は極めてまれなので、左の耳のことは心配する必要はありません。なお、巨大な音響は難聴の原因となるので、カラオケやロックコンサートは避けてください。医師と連携を密にしながら、どうか気長に治療を続けてください。

徳島新聞2003年11月2日号より転載

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