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【質問】 眼球がふさがらない

 29歳の娘のことでお尋ねします。まぶたが腫れている感じで、下を向いても眼球がふさがらない状態です。素人判断で、バセドー病かと疑い、内科を受診させましたが、CTスキャン、MRI、血液検査とも異常なしでした。甲状腺ではなく筋肉の障害ではないかとの話です。何科を受診したらいいでしょうか。



【答え】 甲状腺眼症 -放射線やステロイドで治療-

徳島大学医学部 眼科学講師 賀島 誠

 まず、病気の話の前に、まぶたと眼窩(か)について説明します。まぶたには、閉じる筋肉として眼輪筋と、開ける(つり上げる)筋肉として眼瞼(けん)挙筋があります。眼球の後ろは、脂肪組織と、眼球を動かすための筋肉(外眼筋)、視神経が、骨で囲まれた狭いくぼみである眼窩の中に詰まっています。

 閉瞼障害を起こす原因としては、<1>閉じる筋肉が働いていない<2>開く筋肉が過剰に働いている<3>眼球が後ろから押されて偏り、まぶたの動きを妨げている-などが考えられます。今回の場合のように、下を向いたときに、まぶたがついてこないという症状は、この中でも<2>が原因のときによく見られます。その代表的なものとしては、バセドー病に伴う眼症(甲状腺眼症)が挙げられます。

 質問者は、以前の検査でバセドー病が否定されているとのことですが、目の症状に遅れて甲状腺の異常が出る場合や、甲状腺機能検査で正常値を示す特殊なタイプの甲状腺眼症もあり、今回もそのような状態であると疑われます。

 バセドー病は、一種の自己免疫疾患です。これは、体が甲状腺を自分のものではないと認識してしまい、本来、体を守るはずの抗体が甲状腺を攻撃してしまう状態です。このため、甲状腺が刺激され、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、さまざまな症状が出ます。

 初期に起こる目の変化は、<1>上まぶたが下がりにくくなる<2>外眼筋(目を動かす筋肉)が炎症のために腫れる<3>脂肪組織が増殖する-などです。このような変化に続いて、まぶたの腫れ、眼球の前方への突出、結膜(白目の部分)のむくみや充血などが見られるようになります。

 続いて、外眼筋の炎症により、物が二重に見える複視が起きたり、視神経が圧迫されて視力低下が起きたりします。症状には個人差があります。

 血液検査としては、甲状腺刺激ホルモンや甲状腺ホルモン、甲状腺自己抗体の測定を行います。甲状腺の検査として、超音波、眼窩部のCTならびにMRIにより、眼筋の腫れや張りなど病気の活動性を診断します。眼科検査では視力、眼圧、眼球突出度の測定、眼球の動きを調べる検査を行います。

 甲状腺眼症においては、10-20%の割合で、甲状腺機能検査で正常値を示す特殊なタイプがあります。これらの患者の約90%は、甲状腺自己抗体で異常が現れます。つまり、1-2%は血液検査では診断できません。また、そのようなタイプの甲状腺眼症では、典型的なバセドー病のような、甲状腺が大きく腫れる症状が認められない場合もあります。

 眼症状の治療は、眼球の後ろに放射線を当てる球後照射や、ステロイドなどの炎症を抑える薬を使用します。治療後、複視や視力低下があったり、眼球突出や閉瞼困難による障害がある場合は、状態によっては眼科手術が必要です。

 症状や検査結果については、文章だけでは分からない部分があり、かなり私の独断と想像で書きました。眼科的検査をしていないようですので、一度眼科を受診することをお勧めします。

徳島新聞2003年8月3日号より転載

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