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【質問】 鼻水が出る感じで、血が・・・

 67歳の女性です。2年ほど前から1週間に一度くらい鼻血が出ます。温かいものを食べているときにスーと鼻水が出る感じで、血が出ます。少しで止まるのですが、最近では3日に一度くらいの間隔です。鼻は悪くなく、血圧も最高120、最低が75ぐらいです。どこに原因があるのか教えてください。



【答え】 鼻血 -原因は多様、受診を-

今井耳鼻咽喉科 今井 義ネ豊(徳島市佐古六番町)

 鼻血は、いろいろな原因により、もろく弱くなった鼻の中の粘膜の細い血管が破れて出血します。この誘因は、ほとんど明らかにはできませんが、次のようなものが考えられます。

【機械的な誘因】

 鼻血の主な誘因です。特に小児では鼻前庭炎、上気道炎(かぜ)、鼻アレルギーなどで鼻をこすったり、鼻の中を指でせせったりする機械的な刺激が大きな原因となります。刺激によって血管壁がもろくなったり、赤く腫れた血管になり、鼻をかんだり、顔を洗ったり、くしゃみをしたりした刺激によって容易に出血しやすくなり、だんだん習慣化していきます。

【生理的身体的な誘因】

 鼻血は、年齢では幼少児に多く、季節では夏に、時間では午後5時ごろから午前7時ごろの間に多く見られます。特に睡眠時には体位の影響もあり、鼻血が出やすいのです。

 老人では年齢を重ねるに従い細動脈の硬化が現れ、高血圧などの合併症を有する人が多くなり、いろいろなストレスで血流異常や血管内の圧力上昇が起こり、血管が破れやすくなります。

 また月経、妊娠時にはホルモン周期の変化や、自律神経の影響で鼻の中の粘膜が充血を来していて出血しやすくなります。

 また、過労や睡眠不足、過度の運動、感情の高ぶりなどの精神的、肉体的ストレスも誘因となります。

【体外環境の影響による誘因】

 気道の最先端に位置する鼻の粘膜は、冬季やフェーン現象による乾燥、低気圧の接近、寒冷前線通過による大気の変動を受けます。また、副交感神経が刺激されることで、血管内の血液の流れが変わり、血管からしみ出やすくなります。よって前線通過の激しい3月や6~7月に多く、寒冷地では乾燥しやすい冬季に多いのです。

 また、大気汚染、空調設備による人工的環境変化も誘因になっています。

【薬剤・栄養障害による誘因】

 アスピリンの慣用、抗生物質の長期服用による腸内細菌叢(そう)の変化によるビタミンK欠乏、偏食によるビタミンC欠乏や低タンパク血症などの栄養障害が血管をもろくし、出血の誘因となります。

 また、質問の女性のような鼻血には、Osler(オスラー)病という遺伝性の反復する鼻出血も考えられます。

 このように、いろいろな誘因が考えられるので、一度専門医を受診されることを勧めます。

徳島新聞2003年3月9日号より転載

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