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【質問】 涙が止まらず困っています

 65歳の女性です。2~3年前から冷たい風に当たると涙がほおに流れたり、ポロポロと落ちたりしています。最近は家の中でも涙目になり、運転していても涙でかすんで困っています。病院で涙のツボのようなものを開けてもらったのですが治りません。切開手術する以外に涙を止める方法はないのでしょうか。



【答え】 鼻涙管閉塞症 -適切な手術法決めよう-

いのうえ眼科 井上 須美子(徳島市八万町下福万)

 文面から質問の女性の流涙(りゅうるい)の原因は、鼻涙管閉塞症(びるいかんへいそくしょう)によるものと思われます。

 涙は、上まぶたの外側にある涙腺(るいせん)という組織から分泌されます。眼(め)の表面を潤したり、異物を除いたりさまざまな働きをした後、上下のまぶたの内側にある涙点から、涙嚢(るいのう)を経て、鼻涙管を通って鼻へと流れます=図参照。

 鼻涙管閉塞症というのは、鼻涙管が慢性的に癒着を起こして詰まってしまうものです。排水路が詰まることで、涙は眼からあふれるようになります。原因の多くは分かりません。

 徐々に癒着した鼻涙管が自然に開くことはほとんどなく、涙腺からの分泌を抑える薬も、残念ながら今のところありません。ですから、流涙を治すには、人工的に排水路をつけなければなりません。

 一般的には、涙嚢鼻腔吻合(ふんごう)術が行われています。これは眼と鼻の中間の皮膚を縦に約1.5センチ切り、涙嚢の横の鼻の骨を削って穴を開け、涙嚢と鼻をつなげるというものです。この手術は眼科としては出血が多いので、ほとんどの場合は入院できる病院で行われています。

 涙嚢が小さいときなどには、せっかく手術をしても、再び詰まってしまうこともありますので、手術の前には涙嚢の大きさや閉塞の部位を確認しておく必要があります。皮膚の切開創は数カ月後には、ほとんど目立たなくなります。

 このような大変な手術はしたくないという場合は、シリコンチューブ留置法があります。これは涙点から鼻へシリコンチューブを通して閉塞部を広げ、3カ月くらい留置しておいて道をつけるものです。皮膚の切開はしません。ただ、見えない場所での操作のために手術が難しいこと、麻酔をしていても通すときに痛くなること、再閉塞する率が吻合術よりも高いことなどから、それほど普及していません。

 鼻涙管閉塞症以外にも、流涙が起こる場合があります。通常、涙はまばたきのときに筋肉のポンプ作用で涙嚢に吸引されるのですが、加齢などによってポンプ作用が弱くなると、分泌や排水路に異常がなくても流涙を起こします。この場合には、良い治療法がないのが現状です。逆まつ毛や角膜の病気などの刺激で分泌が増えている場合には、原因疾患を治療すれば涙も止まります。

 たかが涙、されど涙です。質問の女性がどのような状態であるのか、かかりつけの医師とよく相談し、治療法を決めてください。

徳島新聞2003年2月16日号より転載

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