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【質問】 網膜剥離に進行するのでは・・・

 65歳の主婦です。血圧薬を飲んでいるために集団検診で眼底検査をしたところ、網膜細動脈硬化との結果が出ました。これはどのような病気でしょうか。また、この状態が続くと網膜剥離(はくり)の恐れがあるのでしょうか。時々、目がかゆくなったり、かすんだりして心配です。血圧の薬は朝2錠、夕方1錠を服用しています。最高血圧は118、最低血圧が73ですが、薬の副作用は考えられないでしょうか。



【答え】 網膜細動脈硬化 -出血・視力低下に注意-

山田眼科藍住 山田 修三(板野郡藍住町奥野)

 健康な人でも年齢を重ねるとともに、動脈の壁は弾力性を失い、硬くなっていきます。さらに、血管の内壁にコレステロールやカルシウムがたまって、血管の内腔(ないくう)が狭くなり、血液が流れにくくなります。これが動脈硬化です。

 40歳以上になるとほとんど例外なく見られますが、その発症は高コレステロール血症、高血圧、喫煙、糖尿病などによって促されます。動脈硬化を放置すると高血圧になり、狭心症や心筋梗塞(しんきんこうそく)などの虚血性心疾患、脳卒中など生命にかかわる病気を引き起こします。また、逆に高血圧を放置しても動脈硬化が生じるように、両者は非常に密接な関係があります。

 心臓から出た大動脈は、枝分かれをしながらだんだん細い血管となって組織に分布していきますが、実際に栄養分や酸素を血液から組織に与え、また組織から老廃物を運び去る仕事をしているのは、毛細血管という一番細い血管です。この毛細血管に枝分かれする前に細動脈と呼ばれる部分があります。

 細動脈は、体の末梢(まっしょう)組織へ血液が流れる量を調節しています。全身の細動脈に刺激が加わると収縮して細くなり、心臓からの血液の流れに対する抵抗が高まります。心臓は、この抵抗に打ち勝って毛細血管へ血液を送ろうと努力します。このため、心臓は強く収縮することになり、血管内の圧力が高くなる、つまり血圧が上昇します。従って細動脈の状態を知ることが、高血圧や動脈硬化の病状を判断するのに非常に重要なのです。


 眼底はこの細動脈を直接観察できる唯一の部位で、これが高血圧のときに眼底検査を行う理由です。眼底検査では網膜の細動脈や細静脈の状態を通じて全身の血管の状態を推測し、高血圧、動脈硬化の診断や治療に必要な情報を集めることができます。高血圧、動脈硬化の眼底の所見としては、動脈が硬く細くなったり、動脈と静脈の交わる部分では静脈が硬化した動脈に圧迫されて細くなって閉塞(へいそく)しやすくなります。これを交叉(こうさ)現象といいます。

 続いて網膜の出血、網膜に白い斑点(はんてん)が生じる網膜白斑、網膜の浮腫、視神経の出口である視神経乳頭の浮腫と進行していきます。初期の段階では視力障害はほとんど生じませんが、出血や網膜の腫れが眼底の物を見る中心部に及ぶと急激に視力低下を来すことがあります。

 質問の網膜細動脈硬化から網膜剥離に進行するかということですが、広範囲の出血を来し急激な視力低下を自覚しているにもかかわらず放置した場合には、緑内障や網膜剥離まで進行すると考えられます。しかし、質問の女性の場合、血圧の薬とともに動脈硬化の薬も服用していると考えられ、血圧も正常域なので、そこまで心配する必要はないと思います。

 なお、血液中のコレステロール値などがたとえ正常域に改善されたとしても、眼底の状態の改善には少し時間がかかります。「薬を飲んでいるから大丈夫」と思い込んでいる人が案外多いのですが、病院で渡された薬だけを頼りにして、病気のことや毎日の生活習慣についてむとんちゃくであれば、薬の効用は徐々に薄れます。薬の副作用については、現在かかっている内科医の先生とよくご相談ください。

 目のかゆみはアレルギーや慢性の結膜炎によることが多いのですが、目のかすみの原因は白内障、緑内障、遠視など眼底疾患以外にもいろいろ考えられます。検診の眼底検査だけでは細かい変化は見つかりにくいので一度、眼科専門医の受診をお勧めします。

徳島新聞2002年12月1日号より転載

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