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【質問】 全身がかゆくなる

 30代の男性です。アレルギー体質で、ほこりっぽいところにいると、すぐに全身がかゆくなります。5年ほど前からは、喘息(ぜんそく)を発病するようになりました。検査をしたところ、ダニによるアレルギーということで、毎日、ステロイドを吸入し、発病を抑えています。何とか、薬に頼らずに健康でいたいのですが。アレルギーは治らないのでしょうか。



【答え】 アレルギー性気管支喘息 -根気よくコントロールを-

尾崎医院 尾崎 敏夫(名西郡石井町高川原)

 相談は、最近多くなっているアレルギーの病気、特に気管支喘息についてですが、なかなか厄介でお困りのようです。

 人の体には、異物が入ってくると、それを排除して体を守るという大事な仕組みが備わっています。これを免疫といいます。この仕組みが過剰に反応するのがアレルギーで、体にとって不利益な結果をもたらし、気管支喘息、鼻炎、皮膚炎などを引き起こすことがあります。こうした反応が出やすい人をアレルギー体質といい、特定の異物(アレルゲン)に対して特殊成分(抗体)を作りやすい性質を持っています。

 アレルギー性の気管支喘息の発症はアレルゲンの吸入で始まります。これに抗体がくっ付き、次々と細胞が反応して、気管支に障害を起こし内空が狭くなります。このため空気の通路が細くなり、呼吸のたびにヒューヒューと音がし、息苦しくなってきます。この状態が気管支喘息です。

 気管支喘息の治療は、アレルギー反応を抑え、炎症を取り、空気の流れを良くする観点から行われます。治療薬は多くの種類があり、症状に応じた使い分けがされます。ステロイド吸入療法もよく使われており、喘息の沈静化と予防効果に優れています。大人の喘息は比較的長期間の治療が必要ですので、喘息の程度をピークフローという測定法で観察しながら管理していく方法も推奨されます。

 喘息はなかなか治りきらない病気ですが、時には、ほこりの多い仕事を辞めてから喘息が出なくなった人もいます。これは、アレルギーの原因であるアレルゲンを吸入しなくなったためです。アレルゲンには、室内塵(じん)、動物のフケ、花粉などさまざまなものがあります。質問の男性の場合は、ダニがアレルゲンのようです。

 ダニは高温多湿を好み、フケ、食べ物のかす、カビなどを餌にして、ソファ、寝具、ぬいぐるみ、畳、じゅうたんなどに生息しています。ダニアレルギーの人は、周囲のダニを減らすことが最重要です。部屋の換気を良くして乾燥させ、ダニをまき散らさないように注意しながら掃除機をかけ、寝具や畳、じゅうたんなどのダニを除去してください。また、ほこりは極力吸わないようにしましょう。

 喘息にはアレルゲン以外にも、たばこ、大気汚染物質、かぜなどの呼吸器感染症、雷雨や台風など気象変化、アルコール、痛み止めなどの薬、激しい感情変化、ストレスなどが悪い影響を与えます。ぜひ、避ける工夫が必要です。

 アレルギーの病気はアレルゲンをシャットアウトするのが根本的治療です。その他には、一度に治る良い方法はなかなか見当たりません。いろいろな手段で上手にコントロールするのが一番です。焦らず、主治医の先生と相談しながら根気よく治療を続けてください。

徳島新聞2002年8月11日号より転載

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