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【質問】 歯を抜いたが痛み治まらない

 70代の女性です。歯の痛みを感じ、歯医者で抜いてもらったのですが痛みが治まらず、口腔歯科で三叉(さんさ)神経痛と診断されました。リュウマチの薬をもらって飲んでいたところ、目まいが2~3回起きました。薬を止め、局部に麻酔を打ってくれたので、その日は痛みが少なくなったのですが、翌日には右鼻のあたりから右目にかけて痛みが走ります。これで治らないときは、脳外科で診察してもらうように言われていますが、どんな治療があるのでしょうか。



【答え】 三叉神経痛 -脳外科手術が有効-

麻植協同病院 脳外科部長 瀬部 彰

 顔面の皮膚の知覚をつかさどる末梢(まっしょう)神経は三叉神経と呼ばれ、この神経に起きる神経痛を三叉神経痛と呼びます。(「顔面神経痛」と呼ぶ人がいますが間違いです)。一般に筋肉や関節の痛みも「神経痛」と呼んでしまいがちですが、本当の「神経痛」は末梢神経の中で生じる「放電現象」で、ビリッとする電撃的な痛みで、瞬間的なものです。ビリッとした後に痛みの止まる時間があり(間欠期)、一定の間欠期の後に再び痛みを生じるので、ビリッビリッという瞬間的な痛みを繰り返すことになります。

 三叉神経は、まゆから前頭部に分布する第一枝、ほおからこめかみにかけて分布する第二枝、あごの部分に分布する第三枝の3本に分かれており、普通、このうちの1~2本に神経痛が起きます。三叉神経痛は50歳以上の女性に多く、その特徴は<1>ビリッとする電撃的な数秒間の痛みで、「焼け火ばしを突き刺すような」などと表現される<2>痛みの分布が三叉神経の1~2本の枝の領域に限られている<3>痛む部分の一定の部に触れると痛みが誘発される<4>罹患(りかん)した三叉神経の枝が皮膚の直下に出てくるところ(圧痛点)を指で押さえると痛みが生じる<5>食事や会話、歯みがき、ひげそりなどの動作で痛みが誘発される-などです。また、三叉神経の第二、第三枝は歯にも分布しており、診断がつくまでに歯を何本も抜かれていることがよくあります。

 三叉神経痛の原因は完全には分かっていませんが、後で述べる脳外科手術が有効なことから、三叉神経が脳幹部から出た部分で、付近の血管によって圧迫されていることが主な原因と考えられています。叉神経痛の治療には、次のようなものがあります。

 【薬物療法】

 三叉神経痛に最も有効な薬は抗てんかん剤のカルバマゼピン(商品名テグレトール)です。有効ですが副作用も生じやすく、ふらつきや眠気が起きやすいので、お年寄りには少量から使います。まれな副作用として、白血球や血小板の減少、発疹(ほっしん)や発熱があります。

 【神経ブロック】

 圧痛点や神経節という、もっと深い部位に麻酔薬を注射して直接神経を麻酔してしまう方法が神経(節)ブロックです。よく効きますが効果は一時的で、繰り返すとかえって痛みを残すこともあり、救急の処置として行うべきものです。

 【脳外科手術】

 三叉神経痛に対して脳外科で行われる神経血管減圧術という手術があります。三叉神経痛の患者さんでは三叉神経が脳幹部から出た部分で付近の血管によって圧迫されており、これが痛みの原因と考えられているので、この血管と神経を離してやるという手術です。耳の後ろの骨に500円玉程の大きさの穴をあけて手術をしますが、80~90%以上の患者さんで完全に痛みを止めることができます。ただ、全身麻酔が必要であり、手術の合併症として聴力障害などを生じる可能性がゼロとは言い切れませんので、他の治療法でうまくいかない患者さんに対して手術を行うというのが、一般的な脳外科医の考え方です。

徳島新聞2002年7月21日号より転載

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