徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 日ごろから注意することは?

 80歳の男性です。先日、エコー検査で腹部に2センチの動脈瘤(りゅう)ができていました。自覚症状はありませんが、大きくなれば手術しなければならないということでした。手術は難しいとのことですが、成功率はどのくらいですか。動脈瘤を治す薬はないのでしょうか。そのほか、日ごろから注意しなければならないことを教えてください。



【答え】 腹部大動脈瘤 -高脂肪の食事 進行を促進-

徳島県立中央病院 副院長 黒上 和義

 超音波検査(エコー検査)で、2センチの腹部大動脈瘤が分かったということですが、今はまったく心配いりません。しかし、そのまま放置するのはよくありません。専門科による経過観察が必要です。一般に腹部大動脈瘤の径が五センチを超えると破裂の危険性があるといわれています。患者によってはほとんど変わらないこともありますが、普通、1年で5ミリの割合で大きくなるといわれています。一概には言えませんが、あなたの場合、現在のところ心配ないでしょう。ただ、エコー検査だけでは動脈壁の描出が困難なこともあるので、CTやMRIでの検査を勧めます。

 腹部大動脈瘤は無症状のことが多いため、偶然にエコー検査やCT、MRIなど画像診断で発見されることが多く、腹痛、腰痛を訴えて医療機関で受診することもあります。

 動脈瘤の原因は、ほとんどが動脈硬化です。動脈硬化は進行性の疾患です。加齢による変化で、他の生活習慣病と同じくその進行を遅らすことはできても止めることはできません。高タンパク・高脂肪の食事、高血圧、糖尿病は進行を促進します。また、喫煙や過度の飲酒は控えるべきです。

 腹部大動脈瘤は腎動脈を分岐した末梢(まっしょう)にできることが多く、種々の解剖的な特徴によるといわれています。多くは左右の腸骨動脈にも及びます。また、末梢の動脈に閉塞(へいそく)性疾患を合併することもあります。

 治療法は手術しかありません。診断は前述したようにエコー検査、CT、MRIで十分ですが、腹部大動脈瘤は動脈硬化による変化であり、全身の血管に病変が及んでいることもあります。手術前には動脈造影が必要です。心臓を取り巻く冠状動脈、頚(けい)動脈の状況を調べることも必要です。そのため、冠動脈造影、症例によっては頚動脈造影も腹部大動脈造影と同時に行っています。

 手術方法は、人工血管との置き換えです。ほとんどの症例は左右の腸骨動脈に病変が及んでいるので、Y型人工血管に置き換えることが必要です。破裂する前の手術の危険性は2~5%ほどで、安全な手術です。一方、破裂後の手術の危険性は50%以上です。5センチを超える動脈瘤は拡大する速度も早くなり、7センチ以上の瘤が1年以内に破裂する危険性は50%以上です。5センチを超える腹部大動脈瘤の手術が必要な根拠です。

 80歳を超えても精神的に健全で日常生活を活動的に行っていれば十分、手術に耐えられます。重い合併症があって手術に耐えられない患者のためには、最近では、あまり負担をかけないステントと呼ばれる器具を血管内に挿入する方法があります。まだ、限られた病院だけですが、近い将来、多くの病院で行われると思います。しかし、現在は十分な安全性と病後の経過が確認されていないため、手術の方が安全のようです。

徳島新聞2002年4月7日号より転載

  • 感染症について
  • 研修医募集のお知らせ
  • 広報出版物
  • 東日本大震災に関する情報
  • 徳島県医師会は混合診療解禁に反対です
  • 徳島県医師会公益通報窓口について
© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.