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【質問】 キノコを煎じて飲んでいるが

 家族の一人が昨年、胆管がんを摘出しました。手術は成功しましたが、すべてうまくいったわけではなく、術後に放射線治療も受けました。そんな折、梅の古木にはえるキノコ・サルノコシカケ(霊芝(れいし))を、がんによく効くといって知人からたくさんいただき、毎日煎(せん)じてお茶代わりに飲んでいます。ところが新聞に、がん治療用薬剤にも使われるキノコの多糖体に心臓の筋肉に障害をもたらす作用があることが動物実験で確認されたと報じられたのを見て、心配になりました。そもそもサルノコシカケにはどのような効能があるのでしょうか。さらにがんにも効くのですか、心臓障害を起こす恐れもあるのでしょうか、教えてください。



【答え】 霊芝の効能 -がん抑制細胞を活性化-

東洋病院 院長 清水 寛(徳島市北島田町1丁目)

 サルノコシカケ科に属する薬用キノコにカワラタケやマンネンタケ、イワタケなどがあります。霊芝はこの中のマンネンタケのことをいい、約2000年前に編纂(へんさん)された中国最古の薬物書「神農本草経」には、不老長寿に用いる副作用のない上薬に分類されています。

 1972(昭和47)年、当時京都大学食糧科学研究所の直井幸雄氏が、世界で初めて霊芝の人工栽培に成功し、諸外国でも栽培されるようになりました。今も多方面からの基礎研究や臨床研究が行われており、薬理、成分、効能などが解明されつつあります。これらの論文や文献を参考にお答えします。

 まず霊芝の効能について。<1>中枢神経の興奮を抑える作用や鎮痛効果などが確認されています<2>血圧を安定させ、特に拡張期血圧(最低血圧)を下げる作用が認められています<3>高脂血症を改善します。悪玉コレステロールや中性脂肪を低下させ、高コレステロール血症による動脈硬化を予防する働きがあります。

 <4>血液の凝固を抑える作用があります。高脂血症ラットを使った実験では、肝梗塞(こうそく)や肝静脈血栓ができるのを抑えたり、血栓を防いだりする作用が確認されています<5>血糖を下げる作用があります。糖利用を促進する物質が存在しているためと推定されています<6>炎症やアレルギーを抑えます。アレルギー反応の原因となるヒスタミンの働きを抑えたり、接触で起こる皮膚炎を抑制したり、気管支ぜんそくなどによる異常呼吸の出現を抑制したりします。腎炎(じんえん)にかかったラットによる実験では、尿へのタンパク排せつ量を減らし、尿素窒素の改善がみられます。

 <7>免疫を高める作用があります。悪性腫瘍(しゅよう)や免疫不全の治療に用いているインターロイキン2の産生を高め、免疫系が活性化されます<8>抗腫瘍作用があります。がんなどを抑制するヒト末梢(まっしょう)リンパ球のNK細胞の活性を強めるほか、細胞免疫を活性化します。

 以上、霊芝の効能と根拠の一部をまとめてみましたが、三重大学医学部薬理学教室の研究グループは、古梅霊芝がマウスの腫瘍に対して、抗腫瘍作用があることを世界で最初に報告しています。

 次に、キノコ多糖類が心臓障害を起こす恐れがあるとの新聞報道について検討しましょう。

 この実験に使われたレンチナンという物質は、シイタケから抽出された高分子化合物で、霊芝を煎じた液とは全く異なります。そのうえ、レンチナンの使用規定量は成人で週2ミリグラムとされているのに対し、この実験では60キロの人間が使用する量の30倍と60倍の量をマウスに注射して、結果を観察しています。従って心臓障害どころではなく、ほかに異変が出ても不思議ではありません。

 1997年11月に日本で霊芝国際学会が開催されました。世界の霊芝研究者が集まり、霊芝のがん、エイズ、アルツハイマー病への有効性についての発表も行われました。今後の研究成果が期待されます。

 最後に、霊芝の服用法についてお話します。用量は1日3~5グラムを400ミリリットルの水に入れ、とろ火で40~50分煎じ、2~3回に分けて食間に服用するのが一般的です。がんや特別の病気に用いる場合は、漢方薬と併用すると、より効果的です。

徳島新聞2001年12月30日号より転載

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