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【質問】 毎日、脚が痛くて眠れない

 60代後半の男性です。2年前に胸椎(きょうつい)靭帯骨化(じんたいこっか)症の手術を受けたのですが、それ以来、毎晩午前3時ごろから脚がつるようになり眠れません。また、立っているときはどうもないのですが、いすに1時間ほど座っているとつります。毎日、痛みと寝不足で悩んでいます。治す方法はないのでしょうか。



【答え】 脚のつり -寝る前にストレッチ運動を-

診療所・サンオルト中村 院長 片岡 正春(阿南市上中町南島)

 文面の内容から、睡眠中のほぼ決まった時間に、また同一姿勢を長時間保持すると脚がつると解釈します。手術前の症状や痙攣(けいれん)の程度、持続時間などが分かりませんが、読み取れる範囲でお答えします。

 脊柱(せきちゅう)の靭帯骨化症は、長年にわたって無症状のまま進行して、脊髄を圧迫し、突然に発症します。その神経症状が強い場合に手術します。あなたの場合もかなりの症状があったものと思われます。

 頚椎(けいつい)や胸椎部で脊髄の障害が残された場合、時に脚のこむら返りを起こすことがあります。その中に長時間、同一姿勢を保つと発作をきたすものがあるようです。

 あなたの場合、手術で神経症状が改善されましたが、下肢の筋力低下と痙性(異常緊張)を残し、筋痙攣を起こしやすくなっているのでは、と思われます。2年も悩まされ、主治医のアドバイスを受け、いろんな検査と治療を受けられたことと思います。私なりの処方、生活指導を述べます。ただし合併症として筋痙攣を起こしやすい糖尿病、肝臓や腎臓の疾患、腰椎疾患、動脈硬化などはないものとします。

 体や下肢の後遺症に対するリハビリテーションは、積極的に続けてください。脚の神経と筋肉の異常緊張をほぐします。一般的なこむら返りと同じく、夜間の保温に努めましょう。同一姿勢を保つことが発作につながるようですので、寝る前のストレッチ運動も予防になるかもしれません。いすに座るときも、時々姿勢を変えたりいすを変えたりしてみてはいかがでしょうか。

 また夜間、膝の下またはふくらはぎの下にまくらを入れ、股(こ)関節と膝を少し曲げた姿勢で眠ってみてください。発作の程度が軽減するかもしれません。抱きまくらを試し、睡眠姿勢を変えるのも一つの方法でしょう。

 薬の助けも必要です。筋肉の緊張を抑える薬を選びましょう。あるマラソン選手が、脚の痙攣の予防に漢方薬を用い効果を上げたそうです。電解質バランスを整える薬が有効だったとの報告もあります。安定剤で神経の異常緊張を和らげることも必要かもしれません。ビタミンEやB群が有効な場合もあります。血流改善剤も試す価値があるかもしれません。主治医とよく相談してください。

 市販のスポーツドリンクで脚がつらなくなったというテニスの選手もいます。耐久レースの選手はタウリンを含むドリンクを飲んでいるそうです。

 脊柱の靭帯骨化症はいまだにその病態が明らかでなく、病態解明と治療法が研究されています。定期的な検診と、主治医との長期に渡る密接なお付き合いが大事です。

島新聞2001年10月7日号より転載

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