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【質問】 頭のフケが多く悩んでいます

 31歳の男性です。頭のフケが多く、何年もの間、悩んでいます。営業を担当しているため、スーツにフケがたまるのを恐れ、日に2~3回はシャンプーしますが全く効果はなく、シャンプーするほどフケが増えていく気さえします。かゆみなどはありません。フケを少なくするにはどんな方法がよいか教えてください。



【答え】 フケ症 -抗炎症剤入りの洗髪剤を

高橋皮膚科 院長 高橋 智津子(鳴門市撫養町大桑島)

 人の皮膚の表面は、表皮と呼ばれています。深部の基底層で生まれた細胞は、成長して最上層の角質層へ上がっていき、約2カ月の寿命でフケ、アカとなって表皮からはがれ落ちます。程度の差はあってもフケはすべての人でみられます。

 頭部の地肌に、赤みはほとんどなく乾いたフケが多い状態をフケ症(頭部粃糠(ひこう)疹(しん)、乾性脂漏(かんせいしろう))といいます。頭だけでなく、髪の生え際、鼻や口の周り、ときには胸やわきの下など皮脂(ひし)腺(せん)のよく発達した脂漏部位といわれる所に、かゆみの少ない赤みやぶつぶつができ、黄色みを帯びた少し柔らかいフケ状のものが表面に付く場合(脂漏性皮膚炎)もあります。

 皮脂腺から出る皮脂の影響でフケが多くなったり皮膚炎が起きたりするのです。

 脂漏性皮膚炎とよく似た皮膚症状の病気に、乾癬(かんせん)があります。シャンプーなど頭髪用品によるかぶれや、アトピー性皮膚炎でもよく似た症状を起こすことがあります。頭部の一部分に丸い脱毛斑(はん)と白いフケが見られる場合は、しらくも(頭部白癬)も考えられます。

 ご質問を拝見いたしますと、長年多いフケにお悩みのようで、赤みやぶつぶつについては書かれていませんので、「フケ症」が考えられます。

 日常生活で気をつけていただきたいことと、治療について述べます。

 まず洗髪についてです。回数は2~3日に1回が適当ではないでしょうか。シャンプーの種類は▽フケ取り剤(ジンクピリチオン、二硫化セレンなど)の入ったもの▽弱酸性低刺激性せっけん▽グリチルリチン酸などの抗炎症剤の入ったもの-をお勧めします。

 シャンプーには皮脂や汚れを十分に除去する目的で、合成界面活性剤を多く含むものもあります。合成界面活性剤や香料などの添加物でかぶれを起こし、フケが増えることもありますので注意が必要です。

 さらに、睡眠不足にならないように規則正しい生活を心がけ、アルコールの摂取は控えめにしましょう。食事は炭水化物や脂肪分を取り過ぎないようにし、香辛料は少なめにしましょう。ビタミンB2、B6を多く含むもの、例えば大豆、牛乳、卵、レバーがよいでしょう。

 脂漏性皮膚炎であれば、ステロイド外用薬や非ステロイド抗炎症外用薬を塗ることもあります。抗真菌剤(ケトコナゾールクリーム)の外用が有効なこともあります。ビタミンB2、B6の内服もよいでしょう。

 症状が良くなっても再発することがあります。また、あまりよくならない場合、頭髪グッズの不適切な使用やかぶれ、あるいは真菌の感染なども原因として考えられます。一度お近くの皮膚科を受診なさることをお勧めします。

徳島新聞2001年5月13日号より転載

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