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【質問】 鼻水がひっきりなしに・・・

 中学1年になる娘のことで相談します。5月下旬に鼻水がひっきりなしに出て、耳鼻科を受診しました。アレルギー性鼻炎で、原因はハウスダスト(ダニのふんや死がい)だと言われました。予防のために布団を洗って乾し、部屋の掃除も済ませ、もらった薬を1週間飲み続けたら治まりました。ところが10数日たってまた、鼻水とせき、たんが出るようになりました。完全にこの病気を治す方法はないのでしょうか。医者からは注射をするとか、鼻の粘膜を焼き切るとかの説明を受けましたが、どの方法が一番よいのか教えてください。



【答え】 アレルギー性鼻炎 -落ち着くまで内服治療を-

田中医院 院長 田中 幸穂(徳島市中前川町4丁目)

 アレルギー性鼻炎は、空気中の花粉やちりなどアレルギーを発生させる原因となる物質を、鼻から吸入することによって起きる鼻炎です。原因物質により、季節性と通年性に分けられます。

 季節性は、スギ花粉による花粉症に代表されるように、その時期の花粉を吸うことによって起きます。一方、通年性で最も多い原因物質は、ハウスダストと呼ばれる室内のちりやダニで、1年中鼻炎が起きる可能性があります。

 あなたの娘さんは通年性のアレルギー性鼻炎です。症状は1年中続くこともありますが、多くは季節の変わり目に発生します。最近の住宅のように密閉された室内ではダニが繁殖しやすく、その死がいやふんを吸い込むことによって鼻炎になります。

 アレルギー性鼻炎が起きる原因は、2つ考えられます。まずアレルギー性鼻炎を起こしやすい体質を持っていること。もう一つはそうした体質の人が、原因物質を鼻から吸入することにより、鼻炎が起きるということです。アレルギー体質でない人が、花粉やちりなどの原因物質を吸っても、アレルギー性鼻炎にはなりません。

 アレルギー性鼻炎の患者数は年々増加しています。その理由は明らかではありませんが、空気汚染や食料、生活様式などが、かかわっているのではないかといわれています。

 症状は頻発するくしゃみ、水様性鼻汁、鼻づまりです。鼻づまりのため、口呼吸をしますから、のどの痛みやいびき、鼻汁がのどへ流れ落ちるなどの症状を合併することがあります。時期によっては、風邪と同じような症状が出ますので、鼻炎を風邪と間違うことがあります。

 治療法は、保存的治療と手術治療に分かれます。保存的治療は<1>原因物質の除去  <2>減感作療法(体質改善)<3>内服薬<4>点鼻薬<5>注射があります。治療法は患者の症状や年齢、生活環境などを総合して判断しますから、同じ症状でも異なる場合があります。一般的には保存治療を試みても効果が得られない場合、手術を選択すればよいと思います。

 あなたの娘さんは内服薬で効果が出ているようですので、症状が落ち着くまで内服治療を続けられ、経過を見たらよいのではないかと思います。アレルギー性鼻炎は完全に治るケースは少ないのですが、ずっと治療を続ける必要はありません。軽微な症状があっても、日常生活に支障がなければ治療を中止し、経過を見てください。症状が悪くなれば治療を再開すればよいでしょう。

 もう一度、主治医に相談され、説明を受けることをお勧めします。

徳島新聞2000年8月27日号より転載

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