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【質問】 乳房に葉状腫瘍

 40代の主婦です。乳がんの検診で、少ししこりがあると診断されました。病院で調べると、葉状腫瘍(しゅよう)といって、悪性ではなく良性の腫瘍だということです。良性だったら手術は必要ないとテレビで放送していましたが、定期的に検査するだけでいいでしょうか。



【答え】 乳腺にできるしこり -良性でも摘出が望ましい-

とくしまブレストケアクリニック 院長 笹 三徳(徳島市中島田町4丁目)

 乳腺にできるしこりには、乳がん、乳腺線維腺腫(にゅうせんせんいせんしゅ)、乳腺症などがありますが、その中で葉状腫瘍は、まれに見られる腫瘍(乳がんと同じように真の腫瘍)です。しこりを切除し断面を見ると、特徴的な切れ目のある葉っぱのような構造があり、この名前がついています。

 腫瘤(しゅりゅう=こぶ、はれ物)として発見されることが多いのですが、比較的、早く大きくなるという特徴があります。急速に増大し、まれに30センチほどになるものもあります。

 一般的には、乳腺線維腺腫(真の腫瘍ではなく通常は治療を必要としない)との区別が難しく、切除された後の病理診断で葉状腫瘍と診断されることが多いようです。葉状腫瘍には、良性、境界病変、悪性とさまざまなものがありますが、悪性である頻度はまれであり、ほとんどは良性と考えてよいでしょう。

 しかし、この腫瘍はあくまで真の腫瘍であり、適切な処置を行わなければ再発を来し、再発すれば悪性度が増すという報告もあります。従って、葉状腫瘍と診断されたら、腫瘍とその周辺の乳腺を含めた切除が必要です。そして、病理検査の結果を見て、今後の方針を立てるというのが一般的です。

 さて、質問の件ですが、多分、乳腺線維腺腫か葉状腫瘍か、どちらかという診断ではないかと思います。超音波検査で葉状腫瘍に特徴的な葉状構造が出ることもありますが、そのときは大きな腫瘍であることが多く、切除を勧められるはずです。また、しこりに針を刺し、細胞を採取して病理検査を行う「穿刺(せんし)吸引細胞診」で診断もつきますが、このときは悪性の葉状腫瘍も否定できないため、切除が必要です。

 頻度的にも乳腺線維腺腫である可能性が高く、また、細胞診で良性とされているようですので、経過を観察されてはいかがでしょうか。

 もし、大きくなるようでしたら、葉状腫瘍の可能性もあり、しこりの摘出が望ましいと考えます。ぜひ一度、乳腺の専門医の診断を受けられてはいかがでしょうか。

 ここで、乳腺にできる腫瘤一般の取り扱いについて説明します。乳房に何らかのしこりがある場合、マンモグラフィ(エックス線で撮影する)や超音波検査などで本当の腫瘤なのか、乳腺の硬くなっただけのもの(乳腺症など)なのかを区別します。最近は、しこりを触れなくても、マンモグラフィや超音波検査などでしこりを発見することも多いのです。

 そこで、真の腫瘍と診断された場合は、穿刺吸引細胞診を行い、悪性細胞や異型細胞が得られたり、比較的大きな腫瘤のときは腫瘤摘出術以上の手術が必要です。

 また、マンモグラフィや超音波検査など画像診断で悪性が強く疑われた場合は、細胞診で良性であっても、しこりの一部あるいは全部を手術的に切除し、病理検査を行う「切除生検」をしたほうが良いでしょう。

 画像診断および細胞診で、ともに良性と診断された場合は、定期的な経過観察で良いでしょう。

徳島新聞1999年10月3日号より転載

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