徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】首や足が腫れ便秘がち

 30代後半の女性です。首や足が腫れたり、便秘がちになったりするなど体調に不調を来すようになりました。無気力な状態が続くので気になって血液検査をしたところ、「甲状腺機能低下症」と診断されました。投薬治療を行うことになりますが、回復するのでしょうか。完治させるにはどうすればいいのか教えてください。

 

徳島大学病院 内分泌・代謝内科 粟飯原賢一 先生

 【答え】長期の薬物治療が必要

 甲状腺は頸(けい)部(ぶ)の前面下部にある内分泌腺で、いわゆる「のどぼとけ」と呼ばれる甲状軟骨の下方にあり、前方から見るとH型あるいはU型の形をしています。甲状腺ホルモンは熱産生や体内での糖質・タンパク・脂質分解に関わり、基礎代謝の維持に必要なホルモンです。

 甲状腺ホルモン(T3・T4)の調節は、脳にある視床下部・下垂体で調節、分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって行われています。T3やT4の分泌が少ない場合は、TSHが増加しますが、T3やT4が過剰になってきた場合は、負のフィードバック機構によってTSHは抑制されます。

 甲状腺機能低下症になると▽無気力や意欲の低下▽疲れやすくなる▽まぶたが腫れぼったくなる▽寒がりになる▽体重が増加する▽動作が緩慢になる▽記憶力が低下する▽便秘がちになる-などの症状がみられます。

 他に、悪玉のLDLコレステロールが増加することが知られていますので、高コレステロール血症と診断されると、コレステロールを下げる薬を飲む前に甲状腺ホルモンが低下していないかを調べる必要もあります。

 甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンの作用低下状態を定義する言葉であり、病名そのものではありません。その障害部位によって、大きく3種類に分けられます。

 <1>視床下部・下垂体からのTSHの分泌障害によって起こる「中枢性甲状腺機能低下症」<2>甲状腺そのものに障害があってT3やT4の分泌が低下する「原発性甲状腺機能低下症」<3>末梢(まっしょう)組織でのホルモンの作用機構が障害されて起こる「甲状腺ホルモン不応症」-です。

 ここでは、最も頻度の高い、甲状腺自体に問題が生じた病態である原発性甲状腺機能低下症について説明します。

 原発性甲状腺機能低下症の主な原因に「橋本病」があります。橋本病では、自分自身の甲状腺に対する自己免疫の異常を来し、甲状腺実質にリンパ球という白血球の浸潤や甲状腺間質の線維化を招きます。

 甲状腺機能は、正常範囲にとどまることもあるのですが、病態が進行すると、甲状腺から十分に甲状腺ホルモンのT3やT4の分泌ができなくなります。

 血液検査ではTSHの上昇、甲状腺ホルモン(T3・遊離T3やT4・遊離T4)の低下、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体や抗サイログロブリン抗体などの自己抗体が陽性となります。超音波検査を行うと、甲状腺の内部が不均一で粗雑な構造に見えます。

 治療は、ほとんどの症例で合成T4製剤(レボチロキシン)を経口投与します。高齢者の場合は背景に心疾患を抱えている場合がありますので、12・5マイクログラムほどの少量から徐々に内服を開始して行きます。最終的な維持量は甲状腺機能低下症の病気の程度や患者さんの体格などによって異なりますが、25マイクログラムから125マイクログラムの間に調整することが多いです。

 橋本病は治療経過中に薬剤を減量できることもありますが、残念ながら自然に治癒することは少なく、甲状腺機能低下症を呈した場合は、長期にわたって投薬治療を受ける必要があります。

 しかしながら、適切な量の服用であれば、副作用はほとんど心配することはなく、薬剤費自体も健康保険で認められている薬の中では比較的安価です。検査は2~6カ月ごとに血液検査を、1~3年に1回程度は超音波検査でのチェックを受けられることをお勧めします。

  • 感染症について
  • 研修医募集のお知らせ
  • 広報出版物
  • 東日本大震災に関する情報
  • 徳島県医師会は混合診療解禁に反対です
  • 徳島県医師会公益通報窓口について
© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.