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【質問】症状が顕著 接し方教えて

 80代後半の母親は、認知症を患って数年間、特別養護老人ホームに入所していました。最近は自宅で介護していますが、夕方になるとどこかに帰ろうとしたり、むさぼるように食事をしたりするなど、症状が顕著に現れています。進行を遅らせることのできる薬はあるのでしょうか。また家族はどのように接すればいいのでしょうか。

桜木病院認知症疾患医療センター  櫻木章司  先生

【答え】感情面への配慮必要

 物忘れ(記憶障害)と理解や判断のミス(認知障害)があって、周囲の人たちとのトラブルが起きたり、日常生活を送ることが難しくなったりする状態を認知症といいます。

 認知症は、慢性あるいは進行性の脳疾患の症状として現れ、アルツハイマー型(50~60%)、脳血管性(30%)、レビー小体型(10%)などがあります。

 症状には、中核症状と呼ばれる症状と、これに続発、併存して現れる行動・心理症状(BPSD)があります。

 中核症状は、全ての認知症の人にみられる症状で▽記憶障害(しまい忘れ・置き忘れが多くなった、同じことを何度も言う)▽見当識障害(今日の日付、今いる場所、家族などの認識ができなくなる)▽判断・実行機能障害(季節に合った服装ができない、料理の味付けがおかしくなった、運転のミスが多くなった)▽人格の変化(ささいなことで怒りっぽくなった、身だしなみに構わずだらしなくなった)-などがみられます。

 BPSDは認知症の人ごとに異なり、興奮や徘徊(はいかい)、不穏、落ち着きのなさなどの行動症状や、妄想、幻覚、抑うつ、不眠といった心理症状など、特に介護上問題となることが多い症状がみられます。しかし、BPSDの症状は、環境の調整や患者さんへの対応の工夫、対症的な薬物療法などによって改善する可能性があります。

 認知症の治療は<1>薬物療法<2>非薬物療法<3>適切なケア-が3本柱です。

 抗認知症薬によって、アルツハイマー型認知症は進行を抑制することが期待できます。現在は、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンの4剤が使用可能となっています。病気の時期や症状の特徴によって、使い分けを行います。

 非薬物療法では、有酸素運動が認知機能低下の予防になるとの報告があります。加えて、デイサービスやデイケアで楽しみながら対人交流、リハビリテーションに取り組むことが、脳機能の維持や向上に役立ちます。さらに、適切な栄養指導で偏食やアルコール多飲を是正し、ビタミン不足や低栄養を改善することも必要です。

 介護の面では、身体的ケアに加え、保護的な安心で安全な環境づくりや、認知症になっている人の気持ちを理解して精神的に支えていくケアが大切です。

 お母さまの症状は、記憶障害や見当識障害に加えて、BPSDの出現がみられるようです。薬物療法や非薬物療法について、医師やケアマネジャーに相談されることをお勧めします。

 認知症の人は、記憶や理解はできなくても、感情面は保たれています。健康な私たちと同じように、言われて嫌なことがあったり、恥ずかしいと思ったりすることに変わりはありません。このことを心に留めて、お母さまにも接してあげてください。

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