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【質問】夜間頻尿で熟睡できない

 40代半ばの女性です。就寝後の尿の量と回数に悩まされています。就寝後、最初の3時間で30分~1時間おきに目覚め、起床までの7時間に計5、6回起きてトイレに行きます。尿意があるわけではないのに、一晩の尿量は800ミリリットル~1リットルです。1日の水分摂取量は1リットル未満です。原因や対策があれば教えてください。また、26歳で閉経したことや基準値を超えるコレステロール値は関係ありますか。

 武村クリニック 武村政彦 先生

 【回答】排尿日誌で時刻や量、確認

 頻尿による不眠でお困りのようですね。質問された方の排尿状態を中心にお答えします。

 夜間頻尿は「夜間就寝中に1回またはそれ以上、排尿のために起きなければならない状態」と定義され、QOL(生活の質)の大きな妨げとなる排尿症状の一つです。原因は<1>夜間多尿<2>ぼうこう容量の減少<3>睡眠障害-の三つに分けられます。

 質問の内容からは1日の総尿量と1回の排尿量の情報がありませんが、以下に体重を50キロと仮定し、それぞれについて解説します。

 <1>夜間多尿

 夜間多尿は、就寝中の尿量が1日総尿量の3分の1以上あることで、1回の排尿量は正常に保たれています。50キロの人の適切な1日尿量は50キロ×30ミリリットル=1500ミリリットルですので、夜間に500ミリリットル以上あれば夜間多尿です。夜間尿量が800~1000ミリリットルですので、夜間多尿である可能性が高いといえます。

 また、「1日の飲水量は1000ミリリットル未満」とありますが、体から出て行く水分は、「尿」以外にも「不感(ふかん)蒸泄(じょうせつ)」(呼吸や皮膚から知らない間に蒸散する汗以外の水分)などがあるので、尿量よりも飲水量が多くなるものですので、ほかにも水分を取っているはずです。

 さらに夜間、カフェインやアルコールといった利尿作用やぼうこう刺激作用のあるものを取っていないでしょうか? 夜間多尿の原因には、水分の取り過ぎのほかにも高血圧、心不全、腎機能低下、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群などの疾患もあります。原因となる疾患がある場合は、その治療を優先し、無い場合は水分摂取量の見直しや就寝2時間前から水分やカフェイン、アルコールを控えるといった行動療法が有効です。

 <2>ぼうこう容量の減少

 正常な1回排尿量は200~300ミリリットル以上です。夜間800~1000ミリリットルを5、6回の排尿とのことですので、1回で140~200ミリリットル程度となり、少ない傾向があります。

 しかし「尿意があるわけではないのに」との記載から、尿意切迫感を伴いぼうこう容量が減少する過活動ぼうこうや間質性ぼうこう炎という疾患ではないと判断します。

 <3>不眠(睡眠障害)

 「夜間、目が覚めたついでにトイレに行く」という方は睡眠障害による夜間頻尿となります。その場合、尿意が無いのに排尿するので1回排尿量は昼間より夜間が少なくなります。質問された方は26歳で閉経とのこと。「早発卵巣不全」が疑われ、原因に睡眠障害やストレスなどがあります。さらに、前述のように尿意切迫感が無いので睡眠障害による夜間頻尿の可能性もあると考えられます。コレステロール上昇は恐らく閉経に伴うもので、頻尿との関係性は低いでしょう。

 質問された方の夜間頻尿は、<1>の夜間多尿と<3>の睡眠障害の両方が原因と考えられますが、排尿日誌による確認が必要です。朝起きてから翌日の朝まで、排尿した時刻とその時出た尿量、1日の全飲水量、飲んだ種類を記載します≪図参照≫。排尿日誌で1日総尿量や1回の排尿量(昼間と夜間の比較)、尿意切迫感の有無、飲水量(種類も含めて)が分かれば夜間頻尿の原因が分かるので、対策もできると思います。普段の生活内容が分かるように、少なくとも2~3日分は排尿日誌を書いて、泌尿器科専門医を受診してみてください。生活をより快適にする方法が見つかることを祈っています。

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