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【質問】何をするにも気力がない

孫の16歳男子のことで相談です。医師から起立性調節障害と診断されました。中学2年生の修学旅行後から体調が悪くなり、学校に行けなくなりました。今は昼夜逆転生活を送り、何をするにも気力がなく、倦怠(けんたい)感を訴えています。食事をすると、すぐに床に伏せるのですが、好きなゲームだけはしています。良い治療法や家族にできることはないのでしょうか。

 

 

 ひなたクリニック 松岡優 先生

 

 【答え】運動と心のリラックスを

 

 起立性調節障害(OD)には<1>起立直後、または5~20分後に血圧が下がる「起立性低血圧」<2>血圧は下がらず、脈拍を早くすることで血液の循環を維持する「起立性頻脈」<3>立っていると吐き気や顔面蒼白(そうはく)、血圧低下で失神しそうになる「血管迷走神経性失神」-の3分類があります。

 

 発生しやすい年齢(好発年齢)は10~16歳。背はよく伸びるが、内分泌や精神、神経の発達が未完成な時期です。日本学校保健会(東京)の全国調査によると、好発年齢のうちODになる割合は5~10%。主に▽低血圧▽脈圧(最高血圧と最低血圧の差)が小さい▽心臓が小さい▽下半身の筋肉量が少ない-といった人に多くみられます。

 

 症状には慢性的な頭痛や腹痛、胸痛、倦怠感などの身体的不調があります。急に立ち上がったり、長く立ち続けていたりした時に脳貧血になる人がいるほか、乗り物酔いをしやすい、風呂場で気分が悪くなるといった人もいます。

 

 朝は起きづらく、午前中は体のだるさが続くものの、午後には回復します。夜になると、ほとんど症状がなくなるため、仮病やずる休み、生活リズムが乱れているなどと誤解を受けやすい病態です。午前中に体をあまり動かさないため、寝付きが悪く、眠りの質も悪くなり、翌朝も起きられないという悪循環に陥ります。

 

 軽症なら大人になると治り、思春期の発達段階特有の生理的反応と考えられます。しかし、重症例では顔色が優れず、元気がなくなり学校も休みがちになります。

 

 一般的に血液検査や脳波の他、CT検査や磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像診断に異常は出ません。伏せた時と立った時の脈拍や血圧の数値差を測る起立試験、逆立ちなどの自律神経の機能検査でそれぞれ異常を確かめます。

 

 血圧や脈拍の変動をみて、子どもに合った生活指導と薬物療法を行います。生活指導は早寝早起きと適度な運動、そして心のリラックスが大事です。

 

 症状を出さないための予防法として朝、目が覚めた時に布団の中で足の指を動かす体操をしたり、「きょうも一日頑張るぞ」と自分に言い聞かせたりすることも有効です。重症時は横になって目を閉じ、足を高く上げた状態で息を鼻から吸い、口から吐く呼吸をゆっくりと行うのが良いでしょう<図参照>。

 

 長期的にみると、循環血液を増量するために、筋肉をつけることが最も大事。特に、下半身の筋肉を鍛える運動がお勧めです。脱水すると、症状が出やすくなるため、少なくとも1日に1・5リットルの水分と10~12グラムの塩分を摂取しましょう。薬物療法は血圧を上げる内服薬か、漢方薬を使うのが一般的です。

 

 体調不良や不登校、昼夜逆転生活と、ご心配されているのがよく分かります。ODがそれら全ての原因になっているのか、あるいは、他にも原因があるうちの一所見なのか、たまたま随伴している症状なのかを最初に考えます。

 

 不登校の児童生徒の中には、ODや昼夜逆転生活(ODが影響している場合もある)が認められます。体調不良の原因には生活環境や人間関係の問題、ストレスも密接に関係しています。そのため、身体的治療だけでなく、ストレスとなる心理的、環境的要因など、子どもを取り巻く全ての事柄に対応する必要があります。

 

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